【大阪公立大学院】工学研究科 電気電子系 院試(電磁気学、電気回路)対策

電磁気学、電気回路の科目内容

電磁気学は、電場、磁場、電磁場の3題から出題されます。

電磁場については、出題されない年があります。

電気回路は、フェーザ回路、2端子対回路、三相交流、過渡現象から出題されます。

本記事では、電気電子システム工学分野について説明していきます。

大阪公立大 電気電子系(電気電子システム工学分野) 院試の全体

電磁気学、電気回路学、数学を全て必須科目で回答します。解答時間は下記のようになっています。

大阪公立大(電気電子系)の院試形式
  • 電磁気学(3題)+電気回路(3題):180分
  • 数学(4題):90分

他大と比較して試験時間、分量が多く、網羅的な対策が必要になります。

電磁気学は、下記の出題分野が頻出になっています。

  • 電場:
    • コンデンサの電場、静電容量の算出。
    • 誘電体に電場を入射したときの振る舞い
  • 磁場:
    • 磁気回路の鎖交磁束の計算
    • 磁性体による磁気モーメントの計算
    • ソレノイドコイルの誘導起電力
  • 電磁場:
    • マクスウェル方程式を用いた波動方程式の導出。性質の説明。
    • 荷電粒子の運動

電場と磁場はオーソドックスな問題が多いです。一部、境界条件の判断など、原理原則から考える問題がありますので、そこには気を付けましょう。

電磁場も教科書に掲載されている内容から出題されますが、初見だと難しい事項も問われます。波動方程式の導出など、是非自身の手でできるようになりましょう。

電気回路は、下記の出題分野が頻出になっています。

  • フェーザ回路:
    • 供給電力最大則(インピーダンスの虚部成分が0)
    • ベクトル軌跡
  • 2端子対回路:
    • F行列とZ行列のパラメータ関係の導出
    • 梯子型回路のFパラメータの算出
    • ソレノイドコイルの誘導起電力
  • 三相交流:
    • Y-Δ変換を用いた三相電力の算出
    • ひずみ波電力の計算
  • 過渡現象:
    • RLC並列回路の電流、電圧の時間変化など

2端子対回路と三相交流が難しいと感じます。

2端子対回路は、F行列とZ行列のパラメータ比較する問題が他大では出題されないため、対策必須です。また、回路もやや複雑なため、Zパラメータの算出に時間がかかる問題があります。

三相交流は、他大ではあまり出題されないため、類題演習が行いにくい観点で難しくなります。電験三種(理論)のB問題が非常に参考になります。電気回路を武器にしたい方は是非解いてみると良いです。

フェーザ回路は、計算に時間がかかる問題がありますが、位相差が0、電力消費が最大の問われ方をします。結局、インピーダンスの虚部成分が0の考え方に帰着できますので、これを念頭に解き進めると良いです。

過渡現象は、特にコメントありません。類題演習もしやすく、得点源になり得る分野と思います。

対策に使える参考書、問題集

全体

出題分野は多岐にわたりますが、難問が出題されるわけではありません。市販の問題集を完璧に近づけることで、十分合格点を取ることができます。

電磁気学

幅広い分野から出題されますので、他記事と同様に演習書を完璧にする観点で勉強した方が良いです。

1.よくわかる電磁気学 前野 昌弘 (著)

シラバスで紹介されています。題名の通り、分かりやすさ重視の解説です。ご自身のお持ちの教科書でも良いですが、公立大に焦点を絞っての対策を目指すならば、是非購入したいです。

2.電磁気学 第2版 (大学院入試問題から学ぶシリーズ) 中村 徹 (著), 江沢 洋 (監修)

境界条件について、非常に詳しく説明されています。異なる媒質に電場が入射する問題が出題されたことがありますが、こちらの本でも細かく取り上げられています。苦手意識のある方は、是非手に取ってください。

3.詳解電磁気学演習 後藤 憲一 (著), 山崎 修一郎 (編集)

様々な問題が掲載されています。磁気モーメントに関する問題が、他の問題集に不足していますが、しっかりと取り上げられています。過去問を解いてみて、補強が必要と判断した問題についてピックアップして演習を積むと良いです。

電気回路

白藤立著、電気回路学基礎、プレアデス出版

シラバスで紹介されています。行列の計算など、数学の解説も付いています。初学の方にオススメです。

こちらのサイトにて、著者の講義資料もあります。過渡現象に関する説明が少し足りないですが、至れり尽くせりです。教科書が決まっていない方は、是非選択すると良いです。

詳解 電気回路演習(上下) 大下 眞二郎 (著)

上ではフェーザ回路、三相交流の計算。下では、2端子対回路及び過渡現象の計算問題が収録されています。

どれも、公立大院試にて毎年のように問われる内容です。他にも演習書はありますが、網羅的に演習するならばこちらが最良であると判断しました。

対策に使える他大学の問題

電磁気学、電気回路ともに分野ごとに紹介します。

分野ごとの類題
  1. 電磁気学
    • 電場:東北大、九大
    • 磁場:東北大
    • 電磁場:神戸大
  2. 電気回路
    • フェーザ回路:九大、神戸大
    • 2端子対回路:京大(通信情報)、東北大
    • 三相交流:電験三種の過去問、名大
    • 過渡現象:該当なし

市販の問題集での演習が最も有効と考えますが、大学別で演習するなら上記になります。

電場、磁場は境界条件に関する問題がよく出てくることから、東北大が似ています。ただし、最近は問題が易化傾向ですので、コロナ前の時代のものを解くことをオススメします。

電磁場は、神戸大が似ています。マクスウェル方程式から電磁場の性質を導くプロセスが対策に役立ちます。

電気回路は、九大がレベル的に近いと考えます。ベクトル表記で出題されることも、公立大との院試の親和性が高いです。

2端子対回路は、意外と出題される大学が少ないです。一応紹介しましたが、市販の問題集で網羅的に演習する方が試験対策に有効と考えます。

三相交流は、電験三種の過去問が使えます。公式HP及びネットから解答を手に入れることができますので、是非ご覧ください。

過渡現象は、特に特徴がありません。様々な大学で出題されますが、これと言ってオススメする大学もありません。同じく、問題集で演習が最良と考えます。

最後に

試験時間が180分と非常に長いです。事前に過去問にタイムアタックした上で、どの分野に何分使用するか事前に決めておくと良いです。

個人的には、電気回路を気持ち多めに時間を取ると良いです。

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