電磁気学の試験内容
電場、磁場、電磁波から出題されます。
基本問題が多いですが、他大学には無い電磁波が試験範囲に入っており、専用の対策が必要です。
東北大 電気電子系 院試の全体
2024年8月から入試科目の再編が行われます。
下記のように変更になります。
試験科目が減りました。基礎科目、専門科目の区別なく、3題選択します。大学2年生までに履修できるような内容が中心です。コロナを境に1題あたり30分と、非常に短い試験時間になりました。(コロナ前は60分/1題)
考えている暇は無く、スピーディに解いていかなければなりません。
計算量が多い科目が不利になりますが、この分電磁気学はオススメできます。電気回路、数学基礎と比較して計算が少なく、境界条件により検算もできるからです。
2023年3月以前は、情報基礎1や数学基礎を選択し、受けない手もありました。しかし、今後は選択する方が良さそうです。
問題自体は他大学と比較して簡単だと思います。問題集に載っている問題の類題からの出題が殆どで、時間が短い影響もあると思います。また、留学生も解きやすい内容にすることが目的だと考えられます。
時間が短いと言えども、7割は得点したいです。
他大学から出願する上での注意点
学部入試からAO入試を重要視しているためか、院試でも調査書(GPA)が他大学と比較して重要になっているようです。卓越研究大学になったことから、この傾向に拍車がかかりそうです。
大学時代はサボっていた(成績が悪かった)けど、院試で一発逆転!(学歴ロンダ)を考えている方は、他の院を受けましょう。
TOEICも同様に重要ですので、しっかり対策しましょう。
対策に使える参考書、問題集
全体
最近5回分は以下の分野の出題がありました。
- 2024年3月:
- マクスウェル方程式からのエネルギー保存則の説明
- 円柱導体のポインティングベクトル。エネルギー収支の説明
- 2023年8月:
- 球殻コンデンサの接地条件ごとの電場の算出。静電容量の計算
- 2023年3月:
- マクスウェル方程式からの波動方程式の導出
- マクスウェル方程式を用いた電磁波の伝搬速度の導出。磁場のパラメータ算出
- 2022年8月:
- アンペールマクスウェルの法則の説明。変位電流によって発生する誘導起電力の算出
- 2022年3月:
- 円環電流の磁気モーメントの算出。他コイルに対する誘導起電力の算出。
マクスウェル方程式の説明問題は超頻出です。絶対にできるようにしましょう。波動方程式、電信方程式の導出も良く出てきます。暗記で得点できる分野です。電磁誘導の法則、アンペールの法則の両辺に回転を取ることが起点ですので、ここから覚えましょう。
他、球殻コンデンサの静電容量の算出と同軸ケーブルのインダクタンスの算出も頻出です。
教科書
電磁気学 宇野 亨 (著), 白井 宏 (著) (シラバス対象本)
演習問題が多いです。東北大の院試で出題される問題が多数紹介されていますので、購入をオススメします。ただ、初学者には難しいかもしれません。
電磁気学 太田 昭男 (著)
2010年代のシラバスで紹介されていました。先の教科書と負けず劣らず、演習問題が充実しており、東北大院試で出題される問題の類題が多数収録されています。
欠点としては、誘電体、磁性体に関する物理現象の説明が経験者でも分かりづらいと感じる部分があることです。また、ベクトルポテンシャルに関する説明も少ないので、他大学を併願する際は注意した方が良いです。
また、ベクトルよりもスカラー表記で問題を解くことが多いです。阪大など、ベクトル表記で問題を解くことが求められる大学を受ける際は、気を付けた方が良いと思います。
演習書として使う分には良いかもしれません。
問題集
詳解電磁気学演習 後藤 憲一 (著), 山崎 修一郎 (編集)
他大学と同様、こちらを買っておくと良いです。見たことのある問題を題材に出題されることが多いことから、単純に問題数をこなして、手札を増やしておくに越したことはありません。
対策に使える他大学の問題
冒頭の繰り返しになりますが、解きやすい問題が多いです。難しい大学の問題を解く必要はあまり無いかなと考えます。
その上で、以下を紹介します。
九大と神戸大の問題がレベル的に似ています。九大は、ポインティングベクトルのエネルギー収支に関する問題、神戸大は電磁波に関する問題が特に対策になると思います。
最後に
2023年8月からの入試科目再編により、電気系出身者は、「電磁気学」「電気回路」「数学基礎」の3題からの選択が事実上マストになりました。物理からも選択できるかもしれませんが、新設科目の統計力学の出題内容が読めません。(せいぜい保険として持っておくくらいだと思います。)
他大学の院試にも言えますが、電磁気学は本番に強い科目です。物理現象を理解すれば、どのような問題にも対応でき、何も書けないことは無くなります。計算量の観点からも選択することを強くオススメします。