- 詳解電磁気学演習とは
- 詳解電磁気学演習の章立て
- 問題のレベル分け
- オススメ問題
- 1章:真空中の静電界
- 真空中の電荷分布による静電界
- 電気力線とガウスの定理
- 問題[11] 一様な面密度\(\sigma\)で分布する無限に広い導体から発生する電場 ☆★★
- 問題[11-2] 厚みのある平板から発生する電場 ☆☆☆
- 問題[12] 導体球から発生する電場 ☆★★
- 問題[12-2] 薄い球殻に帯電する導体から発生する電場 ☆★★
- 問題[13] 導体円筒に帯電する電荷から発生する電場 ☆☆★
- 問題[13-1] 導体円筒球殻に帯電する電荷から発生する電場 ☆☆★
- 問題[14] 導体球殻に帯電する電荷から発生する電場 ☆☆★
- 問題[14-1,2,3] 電荷を与える球殻を変えた場合 ☆☆★
- 問題[15] 導体球の内側を接地したときの電場分布 ☆☆☆
- 問題[16-2] ある電位を実現するために導体球に与える電荷 ☆☆★
- 1章:真空中の静電界
- 最後に
詳解電磁気学演習とは
1000題程度の問題が収録されている辞書のような問題集です。
院試対策記事の電磁気学を説明するときには、必ずと言って良いほど紹介する問題集です。
詳解電磁気学演習 後藤 憲一 (著), 山崎 修一郎 (編集)
「全部解くことはできないため、試験で出てきそうな問題を解きましょう。」と本サイト、他者様問わず、よく説明しています。
ですが、具体的にどのような問題が試験に出てくるのでしょうか?
そこで、本記事では、旧帝大を初め多数の院試問題を解いてきた筆者の視点で、院試を攻略するために解いた方が良い問題を紹介していきます。
詳解電磁気学演習の章立て
問題のレベル分け
「院試に出てくる問題」及び「院試問題を解くために必要な知識を習得する問題」という観点で紹介しますが、どうしても問題のレベルは存在します。
そこそこ勉強している方に基礎問題の紹介しても仕方ないと考えますので、3段階で分けることにします。
☆★★:基礎(高校レベル)
☆☆★:標準(大学講義レベル)
☆☆☆:応用(院試レベル)
オススメ問題
1章:真空中の静電界
真空中の電荷分布による静電界
問題[1] 3つの点電荷間に働くクーロン力 ☆★★
対策になりそうな大学:阪大、神戸大
基本中の基本です。公式に当てはめて解いていくだけです。
問題[2] 2つの電荷から発生する電場分布 ☆★★
対策になりそうな大学:阪大
後で出てくる電気双極子の基本となる考え方が詰まっています。
発生する電場は、電荷の点を極限としてみると∞になることも知識として持っておくと良いです。
問題[2.1] 二つの電荷から発生する電場の重ね合わせ ☆★★
対策になりそうな大学:神戸大
電荷間を線分を垂直二等分線で割る線上に発生する電場は、x成分を打ち消し合います。
そのことを問題演習を通して習得しましょう。
問題[4] 線電荷から発生する電場 ☆☆★
対策になりそうな大学:神戸大
線が「有限長」、「無限長」それぞれの場合で電場を求めます。
無限長の場合は簡単です。ガウスの法則を選択すれば良いです。
では、有限長の場合はどうするのでしょうか。意外と盲点かもしれません。
微小領域の電荷\(dQ\)から発生する電場\(dE\)を求め、これを線分の取る区間で積分する。という基本的な考え方は、本章によらず、電磁気学で広く使われます。
問題[5]以降も導体の形状が変わっていますが、同じ考え方で解いていけます。
問題[4-2]も良く出てきますが、ガウスの法則(2章)でカバーできます。ここでは割愛します。
問題[5] 円盤状電荷から発生する電場 ☆☆★
対策になりそうな大学:神戸大
円盤の一部に穴が開いた場合も応用例として出題されます。この場合は、まずは穴の開いている部分関係なく+の電荷を帯びている体で計算します。
その次に穴が開いている部分に負の電荷がかかっていると見て別で計算し、それぞれの結果を足し合わせれば良いです。
問題[5-2] 円形コイルに帯電する電荷から発生する電場 ☆☆★
対策になりそうな大学:無し
一押しの大学院は無いですが、計算内容とそれに至るまでの考え方が、様々な大学の院試で使用することが多いです。
特に、磁場の章で、ビオサバールの法則を用いて磁場算出する計算で応用できます。
問題[6] 導体球に帯電する電荷から発生する電場 ☆☆★
対策になりそうな大学:北大
今までの問題から座標系が変わっただけですが、大学によっては球座標が好んで出されることがあります。
球座標の計算が一番難しいため、理解の確認という観点ではこの問題を解けば良いかもしれません。
問題[7] 電気双極子による電位と電界の近似値 ☆☆★
対策になりそうな大学:京大(通信情報)、阪大
電気双極子が試験問題として出てくる大学を受ける際は、是非練習しましょう。本問の考え方を院試で問われることが凄く多いです。
問題[8]以降も電気双極子の問題が続きますが、電荷以外で、試験問題として出題される場面をあまり見たことがないため、ここでは割愛します。
電気力線とガウスの定理
前半部分を特に演習すると良いです。
後半は、手計算では難しい問題ばかりで、院試での出題は考えにくいです。
問題[11] 一様な面密度\(\sigma\)で分布する無限に広い導体から発生する電場 ☆★★
対策になりそうな大学:全般
問題[5]の発展形です。ガウスの法則を用いて簡単に求めることができます。
平板コンデンサから発生する電場を考えるときに基本となる考え方になります。
やろうと思えば、高校物理の知識で解くこともできるので☆★★です。
問題[11-2] 厚みのある平板から発生する電場 ☆☆☆
意外と難しいですが、大変参考になります。
ガウスの法則の定義に忠実になって解いていかないと、完答することはできません。
もはや、平板コンデンサの問題で、こちらを解くことができれば何も心配ありません。
問題[12] 導体球から発生する電場 ☆★★
ガウスの法則の基本問題です。必ず解けるようにしましょう。
問題[12-2] 薄い球殻に帯電する導体から発生する電場 ☆★★
問題12と同じです。球殻の内部は電場0であることに注意しましょう。
問題[13] 導体円筒に帯電する電荷から発生する電場 ☆☆★
問題12と形状は変わるものの、やることは変わりません。
円筒を閉曲面に取り、ガウスの法則です。電荷密度が変化することだけ注意しましょう。
問題[13-1] 導体円筒球殻に帯電する電荷から発生する電場 ☆☆★
問題12-2と同じです。
問題[14] 導体球殻に帯電する電荷から発生する電場 ☆☆★
導体球殻内の電荷分布を正確に導けるかがカギです。
それさえできれば、問題12とやることは変わりません。
問題[14-1,2,3] 電荷を与える球殻を変えた場合 ☆☆★
院試では、導体球のどの位置に電荷が与えられるか分かりません。ここで是非演習しておきましょう。
問題[15] 導体球の内側を接地したときの電場分布 ☆☆☆
ここまでできれば、院試でも高得点が狙えるでしょう。
電荷分布が分からないときは、未知量\(Q_{x}\)と置いて、電位の条件で求めていくことが正攻法です。
問題[16-2] ある電位を実現するために導体球に与える電荷 ☆☆★
問題15以前と逆パターンです。
電位が決まった値に対して電荷が未知数なので、逆の計算をしていくことで求められます。
問17以降はあまり院試で見ません。気が向けば目を通すくらいで良いでしょう。
最後に
次回は第2章について見ていきます。電位係数、静電容量が主です。
静電容量の計算が院試頻出なので、その分野の問題を多めに紹介する予定です。