【名古屋大学】電気工学専攻、電子工学専攻、情報・通信工学専攻 院試対策(電磁気学)

電磁気学の科目内容

電場、磁場の2題から構成されています。

電場については標準的な内容ですが、磁場については一癖ある問題が出ることがあります。

名大 電気電子情報通信 院試の全体

基礎科目+専門科目で構成されています。

電磁気学は基礎科目に属します。志望コース共通で、5題中3題選択することが必要です。

標記の分野で大問が分かれていますので、数学だけで3題あります。残り2題は電磁気学(電場)、(磁場)です。

試験時間は180分で、1題当たり60分の配分になります。大学入試同様、時間に余裕があります。

名大 工学研究科 電気工学専攻、電子工学専攻、情報通信工学専攻(基礎科目)の大問構成
  1. 解析学
  2. 線形代数
  3. 微分方程式
  4. 電磁気学(電場)
  5. 電磁気学(磁場)

大問ごとの難易度として、電場の方が解きやすいと思います。

まず電場は、コンデンサに関する問題が多いです。ある電荷を与え、電場をガウスの法則で求める。これを積分し、電位を求め、静電容量を求めるパターンが多いです。

これをマスターすることで、得点源にしやすくなります。

磁場は、電磁誘導に関する問題が頻出です。しかし、解き方として、ファラデーの法則を利用するか、ベクトルポテンシャルを利用するか、の2パターンあります。

前者ならば、問題集で多数出題されていますので得点源にしやすいですが、問題は後者です。
あまり類題経験を積むことができず、初見になってしまうことがあります。特に、ノイマンの公式の考え方を用いてインダクタンスを求める問題が過去年度にありました。類を見ない内容だったと思います。

対策に使える参考書、問題集

全体

最近3か年は以下の分野の出題がありました。

  • 2023年:
    • 球殻コンデンサに電荷を与えた際の電場、誘電体を挿入した時の静電容量の算出。
    • 円形コイルを正対させたときの中心軸上の磁場。地磁気。
  • 2022年:
    • 円筒コンデンサから発生する電場。誘電体だったときの電場の最大、最小値問題。
    • 線電流のベクトルポテンシャルの算出。ベクトルポテンシャルを利用した正方形コイル間のインダクタンスの算出。
  • 2021年
    • 長方形コンデンサの極板間にかかる力の算出。誘電体を挿入したときの静電エネルギー、力の算出。
    • 正方形コイル、n角形コイルから中心軸上に発生する磁場の算出。円形コイルを回転させたときの誘導起電力、力の関係。

電場については、毎年コンデンサが出題されています。電場分布を図示する問題が最後に出てくることが多いので、イメージをしっかり描けるようにしましょう。

磁場については、思考する問題が多いです。2022年のインダクタンスの算出もそうですが、2023年も円形コイルを利用し、地磁気を打ち消す問題が出ました。間違いなく、類題経験が無いと思います。

文章の誘導に沿って、今までの問題の意味を考える国語力も問われています。

典型問題以外に、電磁現象を深める問題を紹介している問題集を使用した方が良いと考えます。

教科書

電気磁気学 後藤 俊夫 (著), 大久保 仁 (著), 佐藤 照幸 (著), 菅井 秀郎 (著), 永津 雅章 (著), 花井 孝明 (著)

名大のシラバスで紹介されています。普通の電磁気学の教科書です。ご自身のお持ちの教科書でも問題ないとは思いますが、中古が安いです。名大の志望度が高いときは購入すると良いかもしれません。

コンデンサ及び電磁誘導に関する問題だけでもチェックしましょう。

問題集

電磁気学演習 (理工基礎物理学演習ライブラリ 3) 山村 泰道 (著), 北川 盈雄 (著)

他大学と同様に山村先生の問題集をオススメします。電場と等電位面の関係、円形電流と磁気モーメントの関係など、そもそもの電磁現象を理解するに役立つ問題が多数収録されています。磁場の最後の問題の考察力を養うことができます。

ただ、コンデンサに関する問題は少なめですので、他の問題集で補強した方が良いと思います。

電磁気学 第2版 (大学院入試問題から学ぶシリーズ) 中村 徹 (著), 江沢 洋 (監修)

こちらもオススメです。一つの問題に対する考え方を丁寧に説明されています。このため、最後の思考問題を粘り強く考える素養が身に付きます。

ただし、電気双極子など、理学部っぽい問題が取り上げられているページもあります。名大院試の頻出範囲になっている箇所から読んでいくことをオススメします。

対策に使える他大学の問題

全体的には阪大がオススメです。穴埋め形式で、マクスウェル方程式の微分形から解く問題もありますので、全て役立つわけでは無いですが、どの大問も深い部分まで問われており、思考力を養うことができます。

分野ごとの類題 (赤字:オススメ)
  1. 電場:東大、東工大、京大、阪大、東北大、九大、その他多数
  2. 磁場:上に同じ(ただし、阪大と京大の一部の問題がオススメ)

京大(通信情報)の院試にて、地磁気に関する問題が出題されたことがあります。名大院試と同じく思考力が要求されます。こちらの問題だけでも目を通した方が良いと考え、京大(磁場)を赤くしました。

他、電磁気学は、基本的に様々な大学の院試にて出題されます。上記で紹介した大学に限らず、併願先や、自身が良いと感じた大学の問題にも着手すると良いかもしれません。

最後に

電磁気学は、電気系の大学院試を受験する際にほぼ確実に選択する科目と思います。是非、電場、磁場ともに本番は選択できるようにし、得点源になれば幸いです。

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