電気電子回路の試験範囲
電気回路は、フェーザ回路の計算。過渡解析が問われます。(2端子対回路については見たことがありません。)
電子回路は、トランジスタまたはオペアンプの回路計算になります。
2題存在し、前半が電気回路、後半が電子回路となっています。片方に絞っての対策も可能です。
阪大 工学研究科 電気電子情報通信専攻 院試の全体
基礎科目+専門科目で構成されています。
電磁理論は基礎科目に属します。電磁理論Ⅰが電場、電磁理論Ⅱは磁場を示します。志望コース共通で、9題中5題選択することが必要です。
うち、電気工学コースと、量子情報エレクトリクスは、数学5題中3題、電磁理論+電気回路の4題から2題選択します。
試験時間は180分で、1題当たり45分の配分になります。
電気回路について、問題の難易度自体は高いわけでは無いですが、計算量が非常に多いです。特に、文字ではなく具体的な値を代入して結果を求める形式であることから、ただ結果を求めて終わりというわけではありません。
最後までしっかり値を求めないと点が取れません。与えられた数値によっては共振条件を満たし、虚部が打ち消し合う条件で最初から計算できることもあります。是非与えられた数字で、回路全体としてどのようになるのかを事前に方針立てた上で計算することをオススメします。
過渡現象についても基本的に同じです。たまに、回路の抵抗が時間変化することがあります。このような時、ラプラス変換しても結果を求めづらいときがあります。微分方程式に関する知識も必要になりますので、数学の勉強と合わせて対策すると良いです。
電子回路については、電気回路より易しいと思います。(個人的な感想ですが)
特に、オペアンプが出題されたときが狙い目です。節点に関して方程式を立てれば、後は他大学とあまり変わらない計算量で結果を求めることができます。
トランジスタが出題されるときは、小信号等価回路でなく、グラフからパラメータを求める場合もあります。専用の対策を積むことをオススメします。
対策に使える参考書、問題集
全体
最近6か年は以下の分野の出題がありました。
- 2023年:
- フェーザ回路と二端子対回路。テブナンの定理
- CR積分回路(オペアンプ)の周波数特性
- 2022年:
- LR,CR並列フェーザ回路の計算。過渡現象
- CR積分回路の特性、時間応答。ラダー型オペアンプA-D変換回路
- 2021年:
- LRC並列回路の過渡現象。フェーザ回路の計算
- トランジスタ回路の利得計算
- 2020年:
- RC並列回路の過渡現象
- オペアンプの位相特性
- 2019年:
- フェーザ回路の力率。テブナンの定理
- MOSFETの特性(非線形、微小信号等価回路)
- 2018年:
- LRC直列回路の過渡現象
- オペアンプの位相特性
電気回路は、満遍なく問われます。最終的に、具体的な値を代入して結果を求める問題が多いです。計算ミスなく問題を解き切る練習が必要です。
電子回路は、オペアンプが多いです。解答の定石を身に付ければすぐに得点化できますので、最初の対策をオススメします。MOSFETとトランジスタも出ないことはないため、オペアンプが片付き次第、対策しましょう。
電気回路の参考書
1.回路理論1 伊瀬 敏史 (著)
阪大のシラバスで紹介されています。フェーザ回路の計算を題材として解説しています。薄い本なので、すぐに読み終わると思います。これから院試勉強を始める方にオススメです。
2.回路理論2 伊瀬 敏史 (著)
こちらも阪大のシラバスで紹介されています。過渡現象について解説しています。回路理論1と合わせることで、院試対策になります。
3.詳解 電気回路演習(上下) 大下 眞二郎 (著)
上ではフェーザ回路の計算。下では、過渡現象の計算問題が収録されています。
様々な回路を題材に計算練習ができます。電磁気学演習についても良い本です。
電子回路の参考書
OHM大学テキスト アナログ電子回路 永田 真 (編集)
電子回路の本は、どれも大差ないと考えます。上記の本は、阪大シラバスで紹介されています。OHM大学テキストシリーズは、初学者向けに本を出版しており、こちらの本もそうです。
対策に使える他大学の問題
電磁気学と比較して癖が少ないので、色々な大学を紹介できます。
レベル的に似ている東大、東工大の問題を解いていくことが良いと思います。一部、オペアンプに関しては出題が少ないことから九大を推します。
最後に
電磁気学との相性にもよりますが、本番は、電子回路を1題選択できればかなり楽になると思います。残りの電磁気2題か電気回路のうち1題解けそうなものを選択することで高得点を狙えるからです。