電磁理論の試験範囲
電磁理論Ⅰ(電場)、電磁理論Ⅱ(磁場)から構成されています。(年によっては、2問とも磁場の出題があります。)
電磁場については出題が無いです。
阪大 工学研究科 電気電子情報通信専攻 院試の全体
基礎科目+専門科目で構成されています。
電磁理論は基礎科目に属します。電磁理論Ⅰが電場、電磁理論Ⅱは磁場を示します。志望コース共通で、9題中5題選択することが必要です。
うち、電気工学コースと、量子情報エレクトリクスは、数学5題中3題、電磁理論+電気回路の4題から2題選択します。
試験時間は180分で、1題当たり45分の配分になります。
数学と同じく、他大学に比べて難しいと思います。特に、微分方程式を解いてパラメータを求めるところが、他大学には無く、取っつきづらいです。(よくあるガウスの法則の積分形から、球、円柱などの閉曲面を取って解く方法ではない。)
穴埋め誘導形式になっているところも難しさに拍車をかけています。自分の解き方ができず、合わせるしかないのですが、前述の通り微分方程式から解かなければなりません。
問題自体も長いですので、時間以内に完答は難しいと思います。7,8割取れれば良い方かなと思います。
電場は、円形コンデンサの静電容量が良く出題されます。電気双極子についても出題されるため油断なりませんが、まずはよくある問題を微分形で解いてみることをオススメします。
磁場は、ソレノイドコイルと誘導起電力の出題が多いです。ベクトルポテンシャルから解くこともあります。決まり文句の解法だけでなく、是非微分形から解くと良いです。
他、荷電粒子の振る舞いについても出題されます。こちらは、誘導に乗って解いていくとある程度の点数が確保できると考えます。
対策に使える参考書、問題集
全体
最近6か年は以下の分野の出題がありました。
- 2023年:
- クーロン力と電気双極子。発生する電場の図示。
- 磁場中を回転する導体に発生する誘導起電力。
- 2022年:
- 円筒状導体から発生する電場の算出
- 無限平板を流れる電流から発生する磁場と重ね合わせ
- 2021年:
- ソレノイドコイル内の磁場算出
- 磁場中を移動する導体から発生する誘導起電力
- 2020年:
- 円形コンデンサの静電容量算出。誘電体間にかかる力の算出。
- 表皮効果の導出
- 2019年:
- マクスウェル方程式を利用した円環電流による磁場算出
- 固体媒質中での荷電粒子の運動
- 2018年:
- 円形コンデンサの静電容量算出。トムソンの法則
- 磁場中を移動する導体棒による誘導起電力
どの大問も、最初にマクスウェル方程式(微分形)が問われることが多いです。そのため、一般的な電磁気学の本ではなく、マクスウェル方程式に注目した参考書を紹介していきます。
電磁気学
1.電磁理論 (電子情報通信学会大学シリーズ B- 1) 熊谷信昭 (著)
阪大シラバスにて紹介されています。ベクトルポテンシャルによる磁場の算出、荷電粒子の振る舞いの説明について、院試問題で同様の内容が出題されたことがあります。阪大対策を考えるなら、是非購入すると良いです。
2.電磁理論演習 (電子情報通信学会大学シリーズ演習 6) 熊谷 信昭 (著), 塩澤 俊之 (著)
同じく、電磁理論(教科書)の副読本です。教科書の内容を掘り下げた問題もあります。
3.詳解電磁気学演習 後藤 憲一 (著), 山崎 修一郎 (編集)
なんだかんだ、こちらの問題集も持っておくと良いです。様々な観点から問題が出題されることがありますので、複数の視点を持っておくためにも必要です。
実際は、微分方程式を用いて解くため、解法がそのまま使えるわけではありません。ただし、結果を知っておくことで、それに向かって解答方針を立てることができます。
4.電磁気学 砂川 重信 (著)
マクスウェル方程式から原理原則を説明しています。阪大院試問題と似た誘導、考え方になっています。
対策に使える他大学の問題
微分形で問題を解き、穴埋めであることからオススメできる大学は基本的にありません。
ですが、磁場だけでは、名大を提案することができます。全ての問題がそうでは無いですが、ベクトルポテンシャルからインダクタンス、磁場を求めることを題材とした問題が出てくるため、阪大院試と親和性があります。
他、問題レベル的には、東大、東工大と遜色ないです。解答方針に違いはあれど、こちらの大学の問題を演習し、得点源にすると良いかもしれません。
最後に
基礎科目は、数学の計算量が多いです。私が受験生ならばなるべく電磁理論を選択したいです。物理現象を押さえておくことで、どの大学でも必ず得点源にすることができます。
是非、上記で紹介した本で得点源にしてください。