下記の微分方程式をべき級数を用いて解け。
(1)
(2)
微分方程式とは

微分項
微分方程式を解くことにより、ある地点で発生している現在の出来事に対し、次に起こる出来事を求めることができます。(物理学的視点)
微分方程式には変数分離法など様々な型がありますが、直接計算して解を求める型と解を仮定して求める型の2通りに分かれます。
べき級数解法は、解を仮定して求める型になります。

べき級数を用いた微分方程式の解き方
下記の手順で解いていきます。
- 与えられた微分方程式の通常点を求める。(後述)
- 通常点を
とすると、定数 を用いて で解を仮定できる。 - 仮定した解を微分方程式に代入し、未定定数
の関係式を求める。 - 最終的に求まった
を2.で仮定した式に代入することで、解が求まる。
多少計算が複雑になりますが、全体的な操作は
未定定数
級数型でも同じ手順で解を求めます。
通常点の求め方
文献を見ると難しいことが書かれていますが、まずは下記に注目すると良いです。
通常点のとき、
問題を解くうえではまず上記を知っておくことが重要です。もし、間違った点で級数展開すると、正しい解が求められなくなるからです。
問題を解くうえでの留意点
「微分方程式を解け」なる問題が院試で出題されたとき、これが変数分離型なのか、同次系なのか、完全微分方程式なのかを自力で判断することが多いです。
ただ、級数型については誘導が付いていることが多いです。(と言うか、ノーヒントで解く問題は今のところ見たことがありません。)
決められたルールで判別できないことが理由かもしれませんが、問題文の誘導に則って解く。を基本線に進めて良いと思います。
解答例
(1)
これより、
(2)式を微分し、
(2)式(3)式を、与えられた微分方程式に代入すると
上式より恒等式を立てると
以上から、任意の自然数
を得る。(6)式(8)式を(1)式に代入すると
ネイピア数の定義式
を(9)式に適用すると
が与えられた微分方程式に対する一般解になる。
(2)
(1)と同じく、
これより、
だから、(2)(3)(12)式を与えられた微分方程式に代入し
下記の恒等式を得る。
を得る。(16)(17)式を(12)式に代入すると
が与えられた微分方程式に対する一般解になる。