【神戸大学】工学研究科 電気電子工学専攻 院試対策(電気回路、電子回路)

電気回路、電子回路の試験範囲

それぞれ、下記の分野から出題されます。

電気回路の試験範囲
  • フェーザ回路
  • 二端子対回路
  • 過渡現象
電子回路の試験範囲
  • CMOS、TTLの半導体素子の説明
  • トランジスタ回路
  • オペアンプ

電気回路については、範囲、難易度ともに標準的です。

電子回路については、説明問題が多く、神戸大特有と言えます。

下記で詳しく見ていきます。

神戸大 電気電子工学専攻 院試の全体

少し、トリッキーな入試方式になっています。というのも、同じ専攻の中でも受ける研究室によって選択する科目が変わります。

研究室問わず、数学、電気回路、電子回路は必須選択です。

しかし、残りの科目は下記のような選択ルールになっています。

神戸大 電気電子工学専攻 出題科目
  • 数学:
    • 線形代数
    • 解析学
    • 微分方程式
    • 微分積分
  • 電気回路:(本記事で紹介)
    • フェーザ回路
    • 二端子対回路
  • 電子回路:(本記事で紹介)
    • 用語説明問題(CMOS、TTLの特性)
    • トランジスタ回路
    • オペアンプ
  • 選択科目(電子物理系の研究室志望者):下記3科目を全て選択
    • 電磁気学
    • 量子物性工学
    • 半導体デバイス
  • 選択科目(電子情報系の研究室志望者):下記4科目の内3科目を選択
    • 論理回路
    • 情報通信工学
    • データ構造とアルゴリズム
    • データサイエンス

平たく言えば、電子系の研究室を志望するか、情報系の研究室を志望するかで選択科目が変わるようです。

両方の分野で選択できる科目は無いため、早めに志望研究室について固めておく必要があると思います。

電気回路について、具体的な数値を代入して値を決定する形式が多いです。他大学のように、文字で済むことが少ないです。

ただ、整数の結果になるよう計算が簡単になるよう配慮されていることが多いです。複雑な数値が出た時は、計算ミスの確認をしましょう。

電子回路について、CMOSとTTLの説明問題(集積回路)が頻出です。下記の項目は必ず暗記しましょう。

CMOSとTTLの違い

CMOSは、TTLに対して

  • 低い動作電圧で駆動可能(低消費電力)
  • (改善しているものの)動作速度は遅い
  • MOSFETに酸化膜が付いていることから、入力インピーダンスが高い

トランジスタ、オペアンプでも説明問題が出てくる可能性があります。

過去にHパラメータ、A級電力増幅回路、仮想接地の説明問題が出題されました。

オペアンプは、説明問題は少ないものの、複雑な回路の伝達関数を求める場合があります。この場合、最難問題になります。

説明問題の相性にもよりますが、電気回路はなるべく完答狙い。電子回路は7,8割が目標になるでしょう。

全体

最近3年分は以下の分野の出題がありました。

数学の過去出題分野
  • 2023年:
    • 変圧器の巻き数比
    • RL回路の過渡現象
    • エミッタ接地増幅回路の特性
    • オペアンプの多段接続。仮想接地の説明。
    • CMOSインバータの入出力特性
  • 2022年:
    • 重ね合わせの理を用いた有効電力の算出。
    • RCオペアンプ回路の伝達関数の算出
    • エミッタ接地増幅回路の説明問題
    • A級、B級増幅回路の特性。OTL、BTL回路の特性。
    • RC積分回路の説明問題
    • CMOSとTTLの比較
  • 2021年:
    • RLC直列回路のフェーザ電流、電圧、Q値
    • npnバイポーラトランジスタの動作原理、動作点
    • オペアンプを用いた半波整流回路
    • 演算増幅器を用いたA/D変換コンバータの動作原理の説明。
    • ディジタル集積回路の方式とインバータの回路構成

電気回路は、2023年に過渡現象が出題されました。フェーザ回路と二端子対回路の出題が多いですが、油断していると足元をすくわれます。

基本的な回路の微分方程式は解けるようにしておきましょう。

電子回路は、過去3年分を見ていても、色々なバリエーションの説明問題が出題されます。

本ブログでも、電子回路の構成を多数紹介しています。神戸大対策になると思います。

・対策に役立ちそうな本サイトの記事 (是非ご覧ください)

※発振回路については過去に出題がありません。ここだけは救いでしょう。

教科書(電気回路)

専門科目のため、神戸大シラバスページにて紹介されている教科書を調べてきました。

OHM大学テキスト 電気回路I 黒木 修隆 (著) (シラバス対象本)

OHM大学テキスト 電気回路Ⅱ 竹野 裕正 (編集) (シラバス対象本)

神戸大院試のレベルに合っています。しかも、分かりやすいのでオススメします。

電気回路Ⅰについては全範囲、電気回路Ⅱについては、11章の二端子対回路までで良いです。(12章以降の分布定数回路は、勉強する必要無いです。)

電子回路

小信号等価回路の計算をするための参考書、CMOS、TTLの集積回路の説明をするための参考書、それぞれ説明していきます。

小信号等価回路の計算練習のための参考書

アナログ電子回路 (電子・情報工学講座) 石橋 幸男 (著) (シラバス対象本)

少し昔の本ですので、初学者には取っつきにくいかもしれません。演習問題の解答も懇切丁寧なわけでは無いため、他大学院を併願する際は、買わなくても良いと思います。

個人的には、下記の本をオススメします。

等価回路でしっかり理解! 詳解 電子回路 𠮷河 武文 (著), 三木 拓司 (著)

小信号等価回路の計算練習には、しっかり図を書いていく必要があります。本書では、図解説明が多く、トランジスタ、オペアンプともに良い練習ができます。

勿論、エミッタ接地の特性やHパラメータの説明についても他書と同等の無いようになっています。神戸大に限らずオススメします。

集積回路の説明をするための参考書

集積回路工学 (OHM大学テキスト) 吉本 雅彦 (編集) (シラバス対象本)

大変オススメです。神戸大院試対策に生まれてきたような本です。

半導体デバイス開発の歴史から現代に至るまでの応用例について細かく説明しています。ネットだとどうしても簡素になってしまう分、教科書を買った方が良いです。

前半では、MOSFETのPMOS、NMOSの説明など、電子回路の教科書ではスルーしてしまう内容を取り上げています。

後半の11,13,15章が頻出です。メモリ、消費電力、ムーアの法則などが取り上げられています。必ず目を通しましょう。

中盤は半導体素子の論理回路としての活用事例を紹介しています。神戸大対策としては優先度を下げて良いかもしれません。

対策に使える他大学の問題

電子回路の説明問題を中心に、他大院試ではあまり参考にならない分野があります。

可能な限りで紹介していきます。

分野ごとの類題 (赤字:オススメ)
  1. 電気回路:東大、京大、東工大、阪大、名大、東北大、九大、北大、電通大、農工大、広島大など
  2. 電子回路(トランジスタ):東大、阪大、名大、東北大、九大、北大、電通大、名工大、広島大など
  3. 電子回路(オペアンプ):東大、京大(通信情報)、阪大、名大、北大、広島大など
  4. 電子回路(集積回路):該当なし

電気回路は、電通大がオススメです。レベル的に似ていることと、数値を計算する形式もあるため、親和性が高いです。

トランジスタは、名工大がオススメです。いつもはあまり説明していませんが、Hパラメータに関しての問題が出題されたことがあるので、傾向が似ています。

オペアンプは、、強いて言えば京大(通信情報)かと思います。複雑な回路の伝達関数を求める問題が何回か出てきていますので、これだけでも解いた方が良いと思います。

集積回路の説明問題は、出題する大学が特に無いため、↑で取り上げた本を詰めていきましょう。

最後に

神戸大院試の電気回路、電子回路は説明問題が多いです。単に計算練習するだけでなく、教科書を読んで説明できるようになりましょう。

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