以下の無損失分布定数回路を考える。特性インピーダンスを

はじめに
このタイプの問題も、分布定数回路の問題の典型パターンの一つです。分布定数回路の概要については、以前の記事で説明しています。よろしければご確認くださると幸いです。
この記事で覚えてほしいこと
- 出力端における電圧反射係数は、
で表される。
ただし、 は出力端に接続するインピーダンスを表す。 - 出力端に特性インピーダンスと同じ負荷を接続すると、反射係数:0 (反射しない)
- 反射係数0のとき、入力信号を全て出力端で受信できる状態になっており、回路設計上効率が良い。
反射係数の意味
入力電圧
ただし、
式(1)の分子に注目すると、入力端から位置xの距離にあるインピーダンス
これをインピーダンス整合と言います。実際の工学機器を作成していく上で、非常に重要な現象になっています。
インピーダンス整合が役立つ場面
例えば、下記の図のように、機器1,2で通信することを考えます。

機器1から情報を送信する際、反射波が発生するとノイズになってしまいます。こうなると機器2は正しく情報受信できず、両者の協調動作ができなくなってしまいます。
これを解決するため、機器2に特性インピーダンスと同じ大きさの終端抵抗を設け、反射波を無くす手法が様々な現場で用いられています。
院試対策も重要・・・なのですが、将来メーカーへ就職した際に出てくるかもしれない技術です。
「インピーダンス整合」と言うキーワードだけは忘れないようにしましょう。
解答例
出力端を開放した場合
出力端に接続するインピーダンス
このときの反射係数は、
入力波と同じ大きさの反射波が発生します。
出力端を短絡した場合
前節とは逆に、出力端に接続するインピーダンス
このときの反射係数は、
絶対値を取ると1です。入力波と同じ大きさの反射波が同じく発生します。
特性インピーダンスと同じ負荷を出力端に接続した場合
前章で答えを出してしまったのですが、このときの反射係数は下記の式になります。
物理的なイメージですが、下記のようになります。

特性インピーダンスと同じ負荷が接続されているので、無限長線路で考えることができます。このため、反射波は発生しません。
発展:定在波比について
本問の発展版として、「出力端における電圧定在波比(VSWR)を求めよ。」という問題が出てくる場合もあります。発展版として、定在波の物理現象の説明と解法について紹介します。
定在波比とは
入力波
下記のように式変形できることから、反射係数が分かれば、定在波比
仮に、特性インピーダンス
仮に、出力端に接続する抵抗が特性インピーダンスと同じ
理論上、反射波が発生しないほうが、入力信号を出力端で受信できる割合が大きくなり、効率が良くなります。実際の回路設計では、定在波比1を目標にすることが多いです。
最後に
類題として、出力端に
この時、反射波が発生しない条件を求めよ。インピーダンス整合する条件を求めよ。など、色々な問われ方をします。しかし、結局は式(1)の関係から、反射係数0にするように条件式を立てることに帰着するケースが多いです。
また、本問は、出力端での値を問いましたが、出力端/出力端から長さ
結局、その場所から見た駆動点インピーダンスを求め、反射係数を求めると、同じ方針で求めることができますが、機会があれば紹介したいと思います。
参考文献
電磁波工学:安達三郎(著) 電子情報通信学会シリーズ 第5章