【北海道大学】情報科学研究院 情報エレクトロニクスコース 院試対策(専門科目1) 電磁気学 電気回路 電子回路

試験範囲

専門科目1は、応用数学、半導体デバイス、電磁気学、電気回路、電子回路からなります。

前回の記事では、応用数学、半導体デバイスの対策について紹介しました。本記事では、後半3科目について説明していきます。

北大 情報科学研究院 情報エレクトロニクスコース 院試の全体

専門科目Ⅰ、専門科目Ⅱで分かれています。専門科目Ⅰは、本記事で紹介するように学部2年までの内容で解けてしまう問題が多いです。

一方で、専門科目Ⅱは、量子力学などの専門科目を深く問われています。

自分の得意分野にもよりますが、専門科目Ⅰで点数を確保する作戦の方が、基本的に良いでしょう。

北大 情報科学研究院 情報エレクトロニクスコース 院試 出題科目 (専門科目1) 120分で3題選択
  • 応用数学
  • 半導体デバイス
  • 電磁気学(本記事で紹介)
    • 静電場、静磁場
  • 電気回路学(同上)
    • フェーザ回路
    • 2端子対回路
  • 電子回路学(同上)
    • トランジスタ
    • MOSFET
    • オペアンプ

120分で3題選択のため、一題にかけられる時間は40分程度です。

全体的な難易度ですが、3分野ともに標準的な内容と思います。

序盤の設問は少しの計算で解けることが多く、最後の問題に行くにつれて難易度が上がります。ただ、問題集で十分に演習を積めば、完答は難しくない内容と思います。

説明問題だけ個別の対策が必要ですが、教科書の内容を大事にする方針は、前回と変わりません。

電磁気学

円環電流から発生する磁場について求める問題が多いです。一つの円環の問題設定もあれば、複数個あったり、半円である場合もあります。

下記記事で対策できますので、必要に応じて見てみると良いです。

近接効果、遠接効果など、教科書の第1章で出てくる事項を説明する問題が出たことがあります。問題を解くだけでなく、教科書についても読み込み必要です。

電気回路

過渡現象はあまり出題されないようです。フェーザ回路、2端子対回路からの出題ばかりですが、2023年のように、計算が複雑になる問題があります。

基本的な事項は抑えておき、当日の試験問題に合わせて、保険科目も視野に入れながら選択すると良いと思います。

電子回路

トランジスタ、MOSFET、オペアンプからの出題が多いです。

単に、微小信号等価回路で利得の計算をするだけでなく、回路の名前について回答する問題が毎年1題あります。

下記の記事を参考にしながら、知識の抜け漏れチェックをしていくと良いです。

全体

最近3年分は以下の分野の出題がありました。

電磁気学、電気回路、電子回路の過去出題分野
  • 2023年:
    • 電磁気学:円環電流から発生する磁場
    • 電気回路:LRC並列回路の共振条件
    • 電子回路:差動増幅回路の利得計算。反転増幅回路(オペアンプ)の利得計算。
  • 2022年:
    • 電磁気学:電荷を帯びた導体球から発生する電場。回転させたときに発生する磁場。
    • 電気回路:変圧器の回路方程式。供給電力最大則。
    • 電子回路:ドレイン接地回路(MOSFET)の利得。RC積分回路(オペアンプ)の周波数特性。
  • 2021年:
    • 電磁気学:電位からの電場の算出。円形コンデンサ内の電場が一定になる条件。円環電流から発生する磁場とトルク。
    • 電気回路:梯子型2端子対回路のF行列。回路条件。
    • 電子回路:ダーリントン回路の利得計算。非反転増幅回路の利得計算。

電磁気学について、磁場を中心に対策すると良いと思います。

電気回路について、前章で説明した内容と同じです。

電子回路について、様々な回路構成で問われます。前章で紹介した記事だけでなく、電子回路の記事全体で確認しておくと、さらに対策できます。

電子回路
「電子回路」の記事一覧です。

管理人としては、電子回路>電磁気学>電気回路の順でオススメします。電子回路は、簡単な回路計算で済むことが多く、説明問題も一般的な教科書に記載されている事柄が多いからです。

電気回路は、計算量が多いため、本番でしくじってしまうかもしれません。そのため、優先度としてはこの中では低いです。

教科書

北大のシラバス検索システムから、指定教科書を探してきました。その内容と管理人がオススメする参考書も紹介していきます。

電磁気学

シラバスで紹介されている教科書と、市販の問題集で演習していくと良いです。数学と同様、難しい問題集にまで手を出す必要は無いと思います。

工科系の電磁気学: 積分形からのアプローチ 松原 三人 (著)(シラバス対象本)

タイトルの通り、積分形から電磁現象を説明しています。微分形を展開して解くことが北大院試では少ないことから、本教科書の使用で良いと思います。

昔の本ですので、レイアウト的にはとっつきにくさがあるかもしれません。そのため、下記の演習書などで適宜対策した方が良いと思います。

詳解電磁気学演習 後藤 憲一 (著), 山崎 修一郎 (編集)

他大の院試の対策記事でも紹介しています。北大に関しては、磁場に関する部分を中心に解くと良いです。

少なくとも、複数個円環があり、その電磁現象を考察する問題は豊富です。

電気回路

同じく、シラバス対象本を中心に勉強すると良いと思います。

電気回路を理解する 小澤 孝夫 (著)(シラバス対象本)

森北出版の本だけあり、分かりやすい内容にまとまっています。初学者は、本教科書をオススメします。

内容を完璧にすれば、他の本での演習は不要かもしれません。一応、下記を紹介しておきます。

詳解 電気回路演習(上下) 大下 眞二郎 (著)

上ではフェーザ回路。下では2端子対回路の演習が出来ます。

複雑な回路の問題を解いていくと良いと思います。工夫して、なるべく計算量を少なく式変形していくことを意識していくと良いです。

電子回路

シラバスでは、特に指定教科書の紹介がありませんでした。そのため、筆者がオススメする本を下記に紹介します。

等価回路でしっかり理解! 詳解 電子回路: アナログ回路の基礎からデジタル回路入門まで 𠮷河 武文 (著), 三木 拓司 (著)

微小信号等価回路を書いて書いて電子回路の動作を説明していく参考書です。動作原理を説明する問題に対しては別途対策が必要ですが、トランジスタからオペアンプまで、基本的な対策は本書1冊で問題無いと思います。

説明問題については、教科書の内容を完璧にするだけでなく、ネットでググるなどして追加情報を入手する方が良いです。

対策に使える他大学の問題

数学と同様、他大学の院試問題を解くというより、教科書を完璧にする方が良いと思います。

その前提で紹介していきます。

分野ごとの類題
  1. 電磁気学:東大、京大、東工大、阪大、名大、東北大、九大、神戸大、電通大など
  2. 電気回路:東大、京大、東工大、阪大、名大、東北大、九大、神戸大、電通大など
  3. 電子回路:東大、京大、東工大、阪大、名大、神戸大など

問題のレベルが似ていることから、下位旧帝大レベルの院試問題が良いです。

特に、東北大は、最近簡単な問題が続きます。参考になるかもしれません。電子回路は、24年3月の院試の出題が最後となりましたが、過去問を見ると動作原理を説明する問題も出ています。確認すると良いかもしれません。

他、神戸大や電通大もオススメします。(神戸大は、電子回路の説明問題が多いこと、電通大は円環電流に関する問題の出題があったことから赤字にしました。)

最後に

以前の記事で説明した数学、半導体デバイスと合わせて、自身に選択しやすい科目の参考になれば幸いです。

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