
上図の無損失分布定数回路を考える。特性インピーダンスを
(1)出力端に負荷
(2)(1)のとき、
(3)出力端にある負荷
(4)受電端を短絡した。この時の駆動点インピーダンスは純虚数成分になった。考えられる

はじめに
スミスチャートを利用し、分布定数回路の問題を解きます。以前までの記事は手計算で解いていきましたが、今回は図解的に解きます。
本記事で覚えたいこと
を計算し、規格化インピーダンスを求める。- 規格化インピーダンスの実部、虚部をスミスチャートの軌跡にプロットする。
- 交点の半径が求める反射係数で、中心から交点へ直線を引いた外周円との交点が求める角度
- スミスチャートは半波長で一周する。
- 出力端⇒入力端方向へ考えるとき、時計回り、入力端⇒出力端で見るとき、反時計周り
スミスチャートとは
反射係数の式を利用し、ある位置における駆動点インピーダンスを複雑な計算無しで求められるよう図式化したものです。反射係数について、以前の記事でお話ししたように、下記の関係があります。
変数の個数の関係により、反射係数が分かれば、
実際に問題で解くうえでは、
反射係数の極座標表示
横軸が実数成分、縦軸が虚数成分です。スミスチャートの右側の実軸との交点が定在波比にあたります。
スミスチャートの1周分は半波長分です。理由は、入射波と反射波の位相差によります。入射波の位相をaとすると、反射波の位相は-aです。入射波と反射波の合成波を考えると、入射波の位相が180度になれば、反射波の分と合わせて全体360度が取れます。
定在波も上記のような振る舞いになっています。腹と腹の間隔は半波長です。
5.については、(2),(3)で用います。
解答例
(1)受電端の反射係数
まず、規格化インピーダンスは
であるので、スミスチャートの(2,-j2)に対応する軌跡をプロットすると以下のようになる。

青点が交点であり、これの半径は0.62、中心と交点の2点を結ぶ線に対応する角度は-30度
よって求める反射係数は
(2) の位置における反射係数 と駆動点インピーダンス

半径は変わらないので、反射係数は
青点に対応する規格化インピーダンスは、
これに、特性インピーダンス
(3) の値

よって、考えられるインピーダンスは、下記2通り
(4)受電端を短絡したときの長さ
短絡したとき、出力端のインピーダンスは

そこから、長さ
純虚数成分になるとき、90度、270度になると考えられるので、考えられる
補足(定在波法)
本問のように、反射係数が分かれば、出力端に接続するインピーダンス
スミスチャートで図式的に解く方法を紹介しましたが、定在波法なる方法もあります。
反射係数の式(1)を変形し、下記のように
なお、

実験的に
最後に
本問では、今までの問題と異なる解き方をしました。別の切り口で考えることで、分布定数回路に対する理解が深まると幸いです。
参考文献
アンテナ工学ハンドブック:電子情報通信学会 P53
電波工学:長谷川望(著) P11