試験範囲
電通大(情報ネットワーク工学専攻)の選択科目は電気系科目、通信系科目、専門数学、情報系科目からなります。
本記事では、専門数学の一部である確率統計と、通信系科目である信号処理について解説していきます。
電通大 情報理工学研究科 情報ネットワーク工学専攻 院試の全体
必須科目、選択科目で分かれています。選択科目は、電気系の科目から情報系の科目の計8科目で構成されています。
選択の幅が広く、大問ごとの難易度差はあまり無いです。全体として、7,8割取れれば人気研究室を除いて第一志望を狙えると考えます。
1科目にかけられる時間は40分です。必須科目に続き、分量に対して適切な時間です。
確率統計は、積率母関数と最尤推定値が頻出です。これは、他大学であまり出題されない分野です。専用の対策が必要です。
信号処理は、オーソドックスです。阪大の院試問題を解くことができれば、電通大の問題も解けると思います。
ただし、電力スペクトル密度など、阪大では出題されない問題が含まれています。こちらは、別途の対策が必要です。
本サイトでは、信号処理分野においていくつか問題を取り上げています。是非チェックしてください。
信号処理のオススメ記事
全体
最近3年分は以下の分野の出題がありました。
確率統計について、積率母関数から期待値、分散を求める過程が超頻出です。また、他大学頻出分野の確率変数の合成も出題されることがあります。
ワンパターンではありますが、その範囲が広く演習書でも問題が限られています。難しめだと思います。
信号処理について、連続時間信号、離散時間信号両方出ます。
連続時間信号はフーリエ変換し、電力スペクトル密度を求めることが多いです。
また、離散時間信号は、伝達関数と周波数応答を求める問題が多いです。
離散時間信号の問題は、他大学の院試でも良く出題されますし、得点源だと思います。
全体としては、7割取れれば良いのではないかと思います。
教科書
電通大のシラバスから参照してきましたが、この分野においては微妙な本が多いです。
確率統計
技術者のための高等数学 6 E. クライツィグ (著), 田栗 正章 (翻訳), 堀 素夫 (翻訳), 近藤 次郎 (翻訳) (シラバス参考書)
本としては薄いですが、内容は難しいです。初学者向けとは言えません。頻出分野の最尤推定値の説明が他の本より少ないのも良くないです。
演習問題も略解しか無いため、院試向けとはとても言えません。
とは言うものの、管理人としても確率統計でオススメの本には出合えていない状況です。よって、代替書の紹介が出来ません。
大学受験で確率を勉強した方ならばある程度の素養があるはずなので、初めから演習書をやっても良いと思います。
推論など、院試では出題されない範囲に割いているページも多いです。
1科目のために何冊も購入するのは非常にコスパが悪いですので、図書館で上記の本を借りて、頻出分野だけ演習する。という勉強方法を取るのが良いと思います。
信号処理
ディジタル信号処理の基礎 島田 正治 (著) (シラバス対象本)
少し古い本なのか、書店で見つけることができませんでした。ただ、レビューを見ると、誤植だらけのようです。
一般的に、古い本は演習問題の解説が簡素で、この本も例に漏れないようです。
いつも紹介していますが、信号処理は下記の本一択だと思います。
新しい信号処理の教科書: 信号処理の基本から深層学習・グラフ信号処理まで 馬場口 登 (著), 中村 和晃 (著) (オススメ)
他のディジタル信号処理の教科書とは比べ物にならないくらい演習問題と解答が充実しています。しかも、離散時間信号だけでなく、連続時間信号に対しても詳しい解説がなされています。
阪大院試対策に最も刺さりますが、電通大対策としても申し分ないです。
第3,4章、9.10章を中心に勉強すると良いでしょう。
対策に使える他大学の問題
確率統計は、出題内容が独特であることから、一押しの大学はありません。信号処理に関しても、そもそも出題される大学が限られています。
赤字でオススメする大学はありません。強いて言えば、確率統計は農工大が出題レベル、内容が近いです。
また、信号処理は阪大の問題が一番似ています。
最後に
次回の記事からは、情報系の科目を中心に説明していきます。
情報学専攻の枠組みで受験する方が多いのか、情報ネットワーク工学専攻で科目選択する人は少ない印象です。
ただ、出題内容自体はしっかりしています。他大学の院試対策になりそうな問題も多くあるため、順を追って解説していきます。