【電気通信大学】情報理工学研究科 情報ネットワーク工学専攻 院試対策 選択科目(数値解析、離散数学とオートマトン)

試験範囲

電通大(情報ネットワーク工学専攻)の選択科目は電気系科目、通信系科目、専門数学、情報系科目からなります。

本記事では、情報系科目の数値解析学(第7問)、離散数学とオートマトン(第8問)を紹介します。

電通大 情報理工学研究科 情報ネットワーク工学専攻 院試の全体

必須科目、選択科目で分かれています。選択科目は、電気系の科目から情報系の科目の計8科目で構成されています。

選択の幅が広く、大問ごとの難易度差はあまり無いです。全体として、7,8割取れれば人気研究室を除いて第一志望を狙えると考えます。

電通大 情報ネットワーク工学専攻 院試 出題科目 必須科目 120分で3題解答
  • 数学:(必須科目)
    • 線形代数 本記事で紹介
    • 微分積分 本記事で紹介
  • 選択科目(8題中3題選択):
    • 電気回路
    • 電磁気学
    • 確率統計
    • 信号処理
    • アルゴリズムとデータ構造
    • 論理回路
    • 数値解析学 ←本記事で紹介
    • 離散数学とオートマトン ←本記事で紹介

1科目にかけられる時間は40分です。必須科目に続き、分量に対して適切な時間です。

数値解析学は、連立方程式の近似解法が良く出題されます。ヤコビ法、ガウスジョルダン法などを用います。

知っていなくとも、問題文で計算式は与えられます。手を付けることはできますが、教科書の最後で述べられているオチを最後に問われることが多いです。

他、ニュートン法やオイラー法なども出題されます。

よって、教科書を購入しての勉強をオススメします。個人的にはオススメする科目です。

離散数学とオートマトンは、とにかく試験範囲が広いです。しかも、演習書が少ないので対策に苦労すると思います。

個人的には、選択科目の中で最難と考えています。なるべく選択したくない科目です。

本サイトでは、上記2科目の対策に役立つ記事をいくつか執筆しています。

オススメ記事

全体

最近3年分は以下の分野の出題がありました。

アルゴリズム論、の過去出題分野
  • 2023年:
    • 数値解析
      • ヤコビ法を用いた連立方程式の反復計算
    • 離散数学とオートマトン
      • 集合と写像の関係
  • 2022年:
    • 数値解析
      • ニュートン法と2次収束
    • 論理回路
      • オートマトンの受理条件
  • 2021年:
    • 数値解析
      • オイラー法と前進差分、後退差分。安定性
    • 論理回路
      • 集合と写像の関係(対称律、同値関係など)

数値解析について、冒頭で述べた通りです。

離散数学とオートマトンについて、集合と写像の関係が良く出てきます。もし選択するなら、この範囲を重点的に対策しましょう。

次に、オートマトンの受理条件が出てきます。すごろくをイメージし、それぞれの状態に固有の意味を設定することを意識すれば、最小の状態数で設定できます。

教科書

電通大のシラバスから参照してきましたが、この分野においては微妙な本が多いです。

数値解析

基本的に講義ノートのみのようです。参考書として、下記が紹介されていました。

技術者のための高等数学 5 数値解析 E. クライツィグ (著), Erwin Kreyszig (原名), 田村 義保 (翻訳)

洋書らしく、各論についてしっかり解説しています。相変わらず演習問題の解答が殆ど無いですが、本分野については、いたずらに問題を解くよりも教科書の理論を理解する方が重要です。

電通大対策に重きを置くならば、買っても良いと思います。

なお、管理人としては下記をオススメします。

数値計算[新訂第2版] 洲之内 治男 (著), 石渡 恵美子 (著)

説明の分量と演習問題のバランスがちょうどいいと思います。連立方程式の近似解法、微分方程式の近似解法ともに説明されています。

一冊で対策を済ませるならば、この本だと思います。

新訂第2版は値段がするので、第1版の中古を買っても良いと思います。(第2版はPythonのサンプルコードの追記が主であるため、院試にはあまり関係無いと考えます。)

離散数学

情報技術のための離散系数学入門 尾関 和彦 (著) (シラバス対象本) Ⅱ類

少し昔の本のため、難しい説明も含まれています。得点源にしたい方は買ってみると良いと思います。

イラストで学ぶ 離散数学 (KS情報科学専門書) (シラバス対象本) Ⅰ類

個人的にはこちらの方がオススメです。その名の通り、初学者に対し分かりやすいレイアウトになっています。

頻出分野の集合と順序関係に半分以上の分量を割いていることも良いです。ただ、演習問題の難易度が易しいので、院試問題などで問題対策は別途した方が良いです。

その他、シラバスでは下記の本が紹介されていました。(Ⅰ類)

論理・集合・数学語 石川 剛郎 (著), 新井 仁之 (編集), 小林 俊行 (編集), 斎藤 毅 (編集), 吉田 朋広 (編集)

数学と言うより、論理を学ぶ本です。離散数学自体そういった学問かもしれませんが、この本は特に顕著です。

問題演習は別の本で行った方が良いでしょう。

結局、試験頻出の集合論に対する説明が手厚い本を購入することをオススメします。

オートマトン

こちらは、下記1冊のみの紹介でした。

有限オートマトン入門 POD版 森北出版 (シラバス対象本)

あまり数が少ないのか、管理人は中身を拝見できませんでした。森北出版の本のため、初心者に分かりやすい内容だとは思いますが、ご自身の所属する大学図書館で蔵書しているか確認した方が良いと思います。

管理人としては、下記もオススメします。

オートマトン・言語理論 [第2版] 富田 悦次 (著), 横森 貴 (著)

分かりやすい入門書です。演習問題、例題も豊富ですので、この1冊で院試対策までできます。

誤植修正なども出版社のHPにてありますので、購入の際は合わせてチェックすると良いです。

対策に使える他大学の問題

数値解析も、離散数学も、オートマトンも出題する大学が限られています。よって、あまり紹介できません。

分野ごとの類題 (赤字:オススメ)
  • 数値解析:京大(先端数理)
  • 離散数学:京大(通信情報)、東北大
  • オートマトン:京大(通信情報)

京大で、同じ分野の問題が出題されています。ただ、傾向としてはあまり似ていないです。あまり参考にならないかもしれません。

東北大は、情報基礎2の科目でたまに集合論に関する問題が出題されます。こちらは似ている問題が出る場合があるので、一応チェックしても良いと思います。

管理人がオススメする選択科目

過去3記事と合わせて、電通大院試の選択科目の紹介、対策を紹介してきました。

結論、管理人としては下記の科目の順にオススメしていきます。

選択科目(オススメ順)
  1. 電磁気学
  2. 電気回路学
  3. 信号処理
  4. 数値解析
  5. 論理回路
  6. アルゴリズム論
  7. 確率統計
  8. 離散数学とオートマトン

管理人が電気系出身なだけかもしれませんが(汗)

対策のし易さ順で並べました。(下記が詳細理由)

① 1,2は、典型的な問題が多いので、他大学の院試対策と同じく選択できる。
② 3は、他大での出題は少ないが、対策書が充実しているため、得点源にしやすい。
③ 4は、他大での出題は少ないが、教科書の内容から出題されるため、出題内容を読みやすい。
④ 5,6は、教科書の内容で前半得点することができる。他大の院試でも選択できることも多いが、後半は難しい内容が出てくるためこの順位です。
⑤ 7は、積率母関数、最尤推定値が電通大特有の出題内容です。同様の問題が演習書にあまり無いので対策しづらい。
⑥ 8は、試験範囲が一番広く、問題集自体が少ないので対策しづらい。

あくまでも外部生の視点ですので、内部生の常識とは違うかもしれません。また、情報系出身者ならば違った見方になると思います。(5,6:論理回路とアルゴリズムが、1,2の電磁気学と電気回路と入れ替わるなど)

まずは、試験問題を実際に見てみて、自身の専攻分野も考慮に入れながら選択科目を絞っていくと良いです。

タイトルとURLをコピーしました