計算機ハードウェアの試験内容
論理関数の性質、論理回路、順序回路から出題されます。
他大学には無い分布定数回路が試験範囲に入っており、専用の対策が必要です。
東北大 電気電子系 院試の全体
2024年8月から入試科目の再編が行われます。
下記のように変更になります。
試験科目が減りました。基礎科目、専門科目の区別なく、3題選択します。大学2年生までに履修できるような内容が中心です。コロナを境に1題あたり30分と、非常に短い試験時間になりました。(コロナ前は60分/1題)
考えている暇は無く、スピーディに解いていかなければなりません。その点、計算機ハードウェアは真理値表や数項の論理式で済むことが多く、他科目に対して計算量は少ないです。
電気系の学生でも敬遠せず、選択して良い科目とは思いますが、2024年8月から、試験範囲が広くなりました。ここだけ注意が必要です。ただし、問われる内容は、一般的な論理回路の知識です。情報系の学生しか学ばないプログラミングの知識は問われません。勉強すれば、報われやすいです。
大問の前半は、真理値表の作成を問われることが多いです。他科目と同様に、7,8割欲しいところです。
他大学から出願する上での注意点
電磁気学の対策記事で詳しく述べていますが、GPAなど、学部時代の成績が重要視されるようです。電気系の工学研究科だけでなく、情報科学研究科でもこの傾向は同様にあると考えられます。
他大学から併願する際は、上記を理解した上で出願する必要があると思います。
対策に使える参考書、問題集
全体
最近5回分は以下の分野の出題がありました。
- 情報基礎1:
- 3変数多数決関数の性質。中立関数の真偽判定。完全系。(24年3月)
- 環和標準形の性質と真偽判定。2変数非縮退関数の個数と必要十分条件。(23年8月)
- QM法による論理関数の簡単化。n変数奇数パリティ関数の個数。(23年3月)
- 種々の論理関数の個数の算出。(n変数対称関数、線形関数、自己反双対関数、閾値関数)(22年8月)
- LED表示器の真理値表。積和、和積標準形の論理式。NORのみを使用した論理回路の設計。(22年3月)
- 計算機1:
- JKFF、RSFFを用いたDFFと等価な回路構成の検討。複数のDFFを用いた順序回路のタイムチャートの図示。(24年3月)
- 組み合わせ回路の例示。順序回路との違いの説明。直列加算器のミーリー型状態遷移図の作成。”10″bit列の正規表現の作成。ムーア型状態遷移図の作成と等価回路の図示。(23年8月)
- |X-Y|の絶対値を各周期で加算していく順序回路の設計。(23年3月)
- ある入力系列に対する順序回路の作成。(Dフリップフロップ) (22年8月)
- ある入力系列に対する順序回路の作成。(JKフリップフロップ) (22年3月)
8月から二つの科目が統合されますが、二つの分野の問題を網羅的に学習することで対応できると考えます。
真理値表の作成、フリップフロップを用いた順序回路の作成が頻出ですので、必ずできるようになった方が良いです。
特に、JKフリップフロップがよく出ます。他大学はDフリップフロップが多いため、ここが本学の特徴的な出題内容と考えます。
こちらの記事で基本となる考え方をまとめています。よろしければご覧ください。
論理関数については、情報カテゴリーにて様々な関数の説明を行っています。時間の都合上、出題頻度は減ると考えられますが、対策に万全を期す方は引き続きの対策をオススメします。
教科書 (旧 情報基礎1 対策)
計算機学入門~デジタル世界の原理を学ぶ 阿曽弘具 著 (シラバス対象本)
「入門」と書いていますが、実際かなり難しいです。分からない専門用語が多く、その都度ネットで調べていく必要があります。院試対策には不向きかもしれません。過去問を通しての演習の方が良いと考えます。
本書に掲載されている一部の演習問題については院試に役立ちますが、略解程度の記載になっています。
論理設計 – スイッチング回路理論 笹尾勤 著(シラバス対象本)
個人的にはこちらをオススメします。レベル的に丁度良く、本書を通して基本~標準レベルの内容を抑えることができます。(順序回路も含む)
演習書もあるので、セットで購入することをオススメします。本書で端折っていた内容を演習問題とし、丁寧に解説しています。
教科書 (旧 計算機1対策)
ディジタルコンピューティングシステム 亀山 充隆 (著) (シラバス対象本)
amazonでの評価は芳しくありませんが、管理人としてはオススメします。確かに、デコーダやマルチプレクサの内容に関しての説明は非常に簡素ですが、試験にはあまり出ないので気になりません。JKフリップフロップなどの動作と、それらを組み合わせた順序回路の設計については十分解説していますので、院試に必要な事項の説明は揃っています。
実際、24年の3月の問題(1)(2)は、本書の3章からの出題でした。東北大院試に限っての対策ならば、オススメできます。
ただ、演習問題の解答が略解と行かないまでも簡素です。行間を埋める練習は必要です。
対策に使える他大学の問題
情報基礎1 論理関数の性質は、東北大特有の問題です。他大学ではせいぜい1問程度ですが、本学では大問1題程度出てきます。ここまで重厚な問いは他大では見当たりません。
一方で、論理回路及び順序回路の設計問題は、他大学でも頻出になっています。基本的に、併願先の大学の問題を解いていけば良いと考えます。
bit演算などを初め、東大、電通大の問題が傾向的に似ていると感じます。レベル的には、電通大の問題を解いた方が良いと思います。ただし、両大学ともJKフリップフロップに関する問題は少ないので注意した方が良いです。
最後に
計算機ハードウェアは、学習にかかる時間が少ないので、電気系の学生、情報系の学生両者に対してオススメです。
電気系の学生の選択科目は、「電磁気学」「電気回路」「数学基礎」、保険「計算機ハードウェア」
情報系の学生の選択科目は、「計算機ハードウェア」「計算機ソフトウェア」「数学基礎」、保険「電気回路」or「電磁気学」になってくるのではないかと考えます。
院に入ってからの研究活動及び日常生活でパソコンを使用していく上での基本的な考え方がつまっています。是非、選択されてみてはいかがでしょうか。