詳解電気回路学演習とは
1000題程度の問題が収録されている辞書のような問題集です。
院試対策記事の電気回路学を説明するときには、必ずと言って良いほど紹介する問題集です。
詳解 電気回路演習(上下) 大下 眞二郎 (著)
上巻ではフェーザ回路、三相交流の計算。下巻では、過渡現象、分布定数回路の問題を豊富に取り扱っています。
「全部解くことはできないため、試験で出てきそうな問題を解きましょう。」と本サイト、他者様問わず、よく説明しています。
ですが、具体的にどのような問題が試験に出てくるのでしょうか？
そこで本記事では、旧帝大を初め多数の院試問題を解いてきた筆者の視点で、院試を攻略するために解いた方が良い問題を紹介していきます。
詳解電磁気学演習の章立て
- 1端子対回路
- インピーダンス回路、リアクタンス回路
- RL1端子対回路、RC1端子対回路
- 定抵抗回路
- 2端子対回路
- Z行列、Y行列、K行列
- 2端子対回路の接続
- 理想変成器
- フィルタ
- 定K形フィルタ
- 誘導M型フィルタ
- 抵抗減衰器
- 過渡現象
- 一般解、定常解、過渡解
- 初期条件
- 過渡現象の解法
- 単エネルギー回路と複エネルギー回路
- ラプラス変換とその応用
- ラプラス変換の諸性質
- 部分分数展開
- 分布定数回路の定常現象
- 基礎方程式とその解
- 無限長線路、無損失線路
- 有限長線路
- 位置角、スミス図表
- 反射、透過と定在波比
- 線路の共振
- 分布定数回路の過渡現象
- 基礎方程式とその解
- 無限長線路の過渡現象
- 有限長線路
問題のレベル分け
「院試に出てくる問題」及び「院試問題を解くために必要な知識を習得する問題」という観点で紹介しますが、どうしても問題のレベルは存在します。
そこそこ勉強している方に基礎問題の紹介しても仕方ないと考えますので、3段階で分けることにします。
☆★★：基礎(高校レベル)
☆☆★：標準(大学講義レベル)
☆☆☆：応用(院試レベル)
オススメ問題
第1章 1端子対回路
上巻の復習であることが多いですが、留数の計算など、大学数学の復習もできる分野になっています。本記事ではさらっと取り上げる程度ですが、一部重要な問題があります。（下記）
問題[12] 直列共振、並列共振の振る舞い ☆☆☆
本問は上巻にはなく、大学によっては頻出な問題になります。分母＝0または分子＝0を与える周波数に気をつけながら図示していきます。名大を受験する方は是非練習しましょう。
こちらの記事でも類題を紹介しています。
問題[29]-[33] 定抵抗回路の条件 ☆☆★
虚部＝0に注目すればよく、電圧と電流が同位相であることを求める問題と内容は変わりませんが、問われ方が異なっています。本問で類題経験を積んでおきましょう。
第2章 2端子対回路
本章は院試頻出です。加えて、電気回路の分野の中でも難しい分野の一つになっています。是非繰り返し演習して、自分のものにしておきましょう。
問題を解く以前に、重要単元をまとめているページがあります。ある回路のZ行列、Y行列、Z行列の対応と言い、有益なことが多く書かれています。知識に漏れは無いかチェックしておきましょう。
問題[4] 様々な回路のZ行列、Y行列 ☆☆★
本問は単純ですが、Z,Y行列を求めるための基本的な操作手順がつまっています。以降の問題は、複雑な回路構成で問われることもありますが、本問で勉強した内容、手順を忘れないようにし、次に進みましょう。
問題[6][7] 複雑な回路のZ行列、Y行列の算出 ☆☆☆
問題[4]で勉強したことをベースに、まずは答えをみないで解いてみましょう。最後まで解き切ることができた場合は、本単元の完成度はある程度の水準に達していると思われます。
問題[11][12] 伝送行列の計算問題 ☆☆★
Z,Y行列だけでなく、F行列も求められるようになっておく必要があります。同じく演習しましょう。
本章中盤は、影像パラメータが続きますが、院試にはあまり出ないため飛ばします。
問題[39]-[41] 変圧器回路のF行列 ☆☆★
F行列を持つ回路同士を直列に接続したとき、全体のF行列はそれぞれのF行列の積で表されます。このことに気づいていれば、あとはそれぞれの問題で問われている内容に基づき計算していけば、自ずと答えは出ます。
第3章 フィルタ
本章は、院試にはあまり出題されない専門知識が多くあまり出題が無いです。第1章と同様、さらっと飛ばす程度です。
問題[18] 対称格子対回路のフィルタ☆☆★
難しいフィルタ回路ですが、教養として持っておくと面白いかもしれません。社会人に入ると、フィルタによるノイズ処理は当たり前のように議論として出てきますので。
院試でよく問われる内容としては、下記の記事で紹介しています。
