はじめに
京大(通信情報)の論理回路は、論理関数、論理回路、順序回路から構成されています。傾向としては、バランスよく出題されています。
京大 情報学研究科 通信情報システム専攻 院試の全体
2023年度院試より、出題範囲に変更がありました。専門基礎Aで下記4科目を必須選択とし、専門基礎Bが選択科目の扱いになりました。13題中6題出題され、そのうち3題を選択します。
2022年まで、論理回路は専門基礎B(選択科目)の扱いでした。しかし、選択者が多いのか、2023年から必須科目になりました。より一層の対策が求められます。
頻出分野は、論理関数(回路)の簡単化、Dフリップフロップです。どれも、参考書で必ず説明のある分野です。基本を大切にしていくことが重要です。
論理関数の簡単化は、真理値表及びカルノー図を書いていくことで解ける問題が多いです。ここで、ミスなく作成することで、半分程度得点することができます。
Dフリップフロップは、状態遷移図、表から論理関数、回路を作成するまで求められます。こちらも演習していくことで、点数が安定します。
ただし、2021年のように、順序回路から状態遷移図、表を作成する問題がたまに出ます。時間をかければ解くことはできますが、回路自体複雑です。
この場合は部分点も視野に入れながら全体の得点率を確保していく必要があります。
傾向と対策
全体
最近6か年は以下の分野の出題がありました。
- 2023年:
前半:論理関数の簡単化。合成関数の最小積和表現。
後半:可変長符号の復元を行う順序回路の設計。 - 2022年:
前半:論理関数の簡単化、合成関数の最小積和表現。
後半:カウントダウン回路の状態遷移表、論理式。 - 2021年:
前半:論理関数の簡単化、NANDのみの論理回路設計。合成関数の最小積和表現。
後半:与えられた論理回路の状態遷移表の作成。状態数の最小化。(難) - 2020年:
前半:論理関数の簡単化、NANDのみの論理回路設計。
後半:ある入力系列を検出し、1を出力する順序回路。状態数の最小化。 - 2019年:
前半:論理関数の簡単化、NANDのみの論理回路設計。ブール微分。
後半:ある入力系列を検出し、1を出力する順序回路。状態数の最小化。 - 2018年:
前半:大小比較回路の論理関数。合成関数の最小積和表現。
後半:ある入力系列を検出し、1を出力する順序回路。状態数の最小化。
前半、後半ともに何かしらの題材を与えられて、対応する論理関数、順序回路の設計を行う方針に毎年変わりありません。
問題集でもよく扱われる分野ですので、地道に演習していくことで得点率が安定します。論理回路の設計問題では、ドモルガン律を使用しますので、こちらの演習も忘れずに行うと良いです。
対策に使える参考書
OHM大学テキスト 論理回路 今井正治 (著, 編集)
京大シラバスにて紹介されている教科書です。内容が少し難しいので、初学者には難しいかもしれません。言葉での説明が多いので、図などを見ながら理解したい方には、他の本をオススメします。(幸い、論理回路に関する参考書は充実しています。)
論理回路 井澤 裕司 (著)
東大と同じく本参考書をオススメします。理由は、単純に分かりやすいからです。(東大と同じ)
ただ、論理関数の簡単化だけ、少し説明が少ない気がします。下記の参考書で補強しても良いかもしれません。
論理回路入門 坂井 修一 (著)
論理関数を専門とした書籍は無いため、他の論理回路の教科書の紹介になります。東大を併願するならば、上記も内容を確認した方が良いかもしれません。
幸い、論理関数の簡単化ならば、他大でも出題があります。書籍を買わずとも、院試問題で演習することで慣れるのも一つの手です。
対策に使える他大学の問題
論理回路は、様々な大学の院試で出題されます。よって、演習に困ることは無いと思いますが、管理人としては下記をオススメしたいです。
論理関数は、東北大の院試が1つの大問を持っています。2024年8月から傾向が変わりますが、以前の年度の問題で十分演習できます。
順序回路は、様々な大学で出題されます。どれがオススメなどの甲乙つけがたいです。
1001などの入力系列を確認し、回路を作成する問題は東北大。カウンタの設計問題は京工繊など、院によって頻出分野が少し異なります。
ご自身が演習したい題材を上記の大学の過去問から探していくスタイルが良いと思います。
参考になりそうな本サイトの記事
ある入力系列に対し1を出力する順序回路
最後に
論理回路は、2024年から重要度が増しました。
真理値表、カルノー図、状態遷移表がミスなくかければ必ず得点安定します。自分なりのミスチェック方法を磨き上げて、院試本番に臨むことが重要です。