対称行列
(1)
(2)
ただし、変換行列を、
はじめに
行列の2次形式に関する問題の続きです。前回は、与えられた2次形式の関数を楕円形に変換しました。
本記事では、
本記事で覚えたいこと
座標系
最大、最小問題
- 標準形に変換後の関数
で最大、最小を与える を求める。 - (3)式に求めた
を代入。これを解くことで、 領域に逆変換する。
最大、最小値を求めやすい座標系
領域の面積(体積)を求める問題
- 楕円体の体積の公式(
を用いて、座標変換後の関数 の体積を求める - 座標変換前後の基本ベクトル(x,x’,y,y’,z,z’)で、長さが変わっているものがあるかチェック。
- 正規直交基底の場合は基本ベクトルの長さが変わらないので、1.の算出結果が座標変換前の関数に対しても使える。
1.の公式を知っているかが、この問題を解く可能性を左右します。
媒介変数表示などを使えば知っていなくても解けるはずですが、当然計算量が多くなります。
そこで、変換行列を使用すると楕円になることが予想できます。これを利用することで、楽に計算することができます。
解答例
(1)最大、最小値問題
問題で与えられた変換行列
これを
※正規直交基底なので、変換後も同じ関係式になります。不安ならば、検算してみると良いかもしれません。
最大、最小を求めるには、
※x+y+z=0の関係を導くには、(x’,y’,z’)それぞれの値を(4)式に代入すればよいです。
(2)面積(体積の計算問題)
前節により、
また、変換前後の基本ベクトル(x,x’,y,y’,z,z’)は両方正規直交基底であるため、変換後の関数で求めた体積は、変換前の関数の体積と一致する。
変換後の関数は
ただし、楕円体の取る範囲は、
すなわち、
最後に
京都大学が、本問の類題を院試で出題したことがあります。他、東北大学で2次形式の標準形変換の出題をしたことがあります。
両者の大学を受験される方は、是非チェックしてください。
私が知りうる限りで解説したつもりですが、語弊がある内容もあるかもしれません。その際は、お問い合わせにてご指摘くださると幸いです。