詳解電気回路学演習(上巻)のオススメ問題一覧 (1~4章)

  1. 詳解電気回路学演習とは
  2. 詳解電磁気学演習の章立て
  3. 問題のレベル分け
  4. オススメ問題
    1. 1章:直流回路
      1. Ohmの法則
        1. 問題[1] 様々な端子の合成抵抗の算出 ☆★★
        2. 問題[2] 合成抵抗値の算出 ☆★★
        3. 問題[3] ブリッジ回路の平衡条件 ☆☆★
        4. 問題 [18] 回路に流れる電流と電圧効果 ☆★★
        5. 問題[63] 最大消費電力の算出 ☆☆★
  5. 第2章 正弦波交流
        1. 問題[1] 正弦波交流の向き
        2. 問題[3] 波形の図示 ☆★★
        3. 問題[25] 磁気エネルギーの計算 ☆★★
        4. 問題[34] 発振周波数 ☆★★
        5. 問題[41] 有効電力、無効電力、力率の計算 ☆☆★
  6. 第3章 ベクトル記号法
        1. 問題[10] 合成アドミタンスの計算 ☆☆★
        2. 問題[12] 合成アドミタンス、インピーダンスの計算 ☆☆★
        3. 問題[19] 瞬時値とフェーザ表示の変換 ☆★★
        4. 問題[22] 回路に流れる電流のフェーザ表示 ☆☆★
        5. 問題[44] 抵抗を変化させての力率の調整 ☆☆★
        6. 問題[46] 共振時の振る舞い ☆☆★
        7. 問題[55][56][57]回路に流れる電圧と電流が同相になる条件 ☆☆★
        8. 問題[70] ブリッジ回路に負荷を接続したときのインピーダンス ☆☆☆
        9. 問題[84] フェーザ表示を用いた消費電力の計算 ☆☆★
        10. 問題[88] 供給電力最大則 ☆☆★
        11. 問題[98] 回路全体の有効電力、無効電力 ☆☆★
        12. 問題[101] フェーザ表示の応用問題 ☆☆☆
  7. 第4章 交流回路
        1. 問題[18] Q値を求める問題 ☆☆★
        2. 問題[26] 複雑な回路の共振条件 ☆☆☆
        3. 問題[35] 磁気結合回路に流れる電流 ☆☆★
        4. 問題[53] 回路に流れる二つの電流の位相差がπ/2になる条件 ☆☆☆
        5. 問題[65]-[71] ブリッジ回路の平衡条件 ☆☆☆
        6. 問題[72][73] 複雑なブリッジ回路の平衡条件 ☆☆☆
        7. 問題[89]-[94] ベクトル軌跡 ☆☆☆

詳解電気回路学演習とは

1000題程度の問題が収録されている辞書のような問題集です。

院試対策記事の電気回路学を説明するときに必ずと言って良いほど紹介する問題集です。

詳解 電気回路演習(上下) 大下 眞二郎 (著)

上ではフェーザ回路、三相交流の計算。下では、過渡現象、分布定数回路の問題を豊富に取り扱っています。

「全部解くことはできないため、試験で出てきそうな問題を解きましょう。」と本サイト、他者様問わず、よく説明しています。

ですが、具体的にどのような問題が試験に出てくるのでしょうか?

そこで本記事では、旧帝大を初め多数の院試問題を解いてきた筆者の視点で、院試を攻略するために解いた方が良い問題を紹介していきます。

詳解電磁気学演習の章立て

章立て(上巻) (赤字:本記事で紹介)
  1. 直流回路
    • Ohmの法則
    • Kirchhoffの法則
    • 電力・Joule熱
  2. 正弦波交流
    • 実効値、回路素子の応答
    • 瞬時電力、最大電力および平均電力
    • 基本回路のインピーダンス、アドミッタンス
  3. ベクトル記号法
    • 複素数の加減乗除と共役複素数
    • 複素インピーダンス、アドミッタンス
    • 電力の複素数表示
  4. 交流回路
    • 直列共振と並列共振
    • インピーダンスのY-Δ変換
    • 相互誘導回路
    • ブリッジ回路
    • ベクトル軌跡
  5. 過渡現象
    • 網目解析、節点解析
    • 回路の線形性、重ね合わせの理
    • 相反定理と補償定理
    • テブナンの定理とノートンの定理、ミルマンの定理
    • 双対性、双対回路の求め方
  6. 多相交流
    • 星形結線と環状結線
    • 3相交流
    • Y結線、Δ決戦の電圧と電流
    • 非対称電圧3相起電力のY-Δ変換
    • 対称座標法
    • 3相交流発電機の基本式
  7. Fourier変換と波形解析
    • ひずみ波のFourier級数展開、実効値と電力、波形率、波効率、ひずみ率
    • 3相回路におけるひずみ波
    • 非周期波とFourier積分
    • Fourier変換の諸性質、線形回路の応答

問題のレベル分け

「院試に出てくる問題」及び「院試問題を解くために必要な知識を習得する問題」という観点で紹介しますが、どうしても問題のレベルは存在します。

そこそこ勉強している方に基礎問題の紹介しても仕方ないと考えますので、3段階で分けることにします。

☆★★:基礎(高校レベル)
☆☆★:標準(大学講義レベル)
☆☆☆:応用(院試レベル)

オススメ問題

1章:直流回路

本章は、高校レベルの知識でも解くことができます。

インピーダンスの概念も無いため、院試勉強には不要かもしれません。

今後の章を進めていく上で知識にしたい問題は紹介するようにしますが、既知のものであればスルーでも構わないと思います。

Ohmの法則

問題[1] 様々な端子の合成抵抗の算出 ☆★★

高校物理の復習です。電気情報系の学生ならば演習不要です。

問題[2] 合成抵抗値の算出 ☆★★

こちらも高校物理の復習です。並列接続する抵抗の数を増やすと、全体の合成抵抗値は下がる問題です。知っていれば簡単な問題ですが、他専攻から電気情報系の院試を受ける方は一見の余地ありです。

問題[3] ブリッジ回路の平衡条件 ☆☆★

タイトル名を見てピンと来なかった方は絶対やりましょう。どの大学でも頻出の考え方です。本章では、抵抗値のみでの計算ですが、後の章にてインピーダンスも含めた計算をします。

問題[4]~[17]は、個人的に重要性は低いかな。。と思います。確かに、格子型回路を解く問題は参考書でもよく出てくるものの、実際に院試で出てくる場面は少ないからです。

問題 [18] 回路に流れる電流と電圧効果 ☆★★

高校物理でも出てくる問題です。問題文を見て解き方が分かれば演習不要と思います。

問題[19]~[59]も飛ばします。ブリッジ回路の問題など、院試でも出てくるかもしれないトピックが多少含まれていますが、計算が煩雑であることが気になります。後段の章でも類似の問題が出てくるため、わざわざ計算が難しい問題を選ぶことはないと考えます。

問題[63] 最大消費電力の算出 ☆☆★

本サイトの記事でも同様の問題を扱っています。消費電力を算出する問題ならば、問題[60]以降のどれでも構いませんが、私ならばこの1問を代表して解きます。

消費電力の式\(P=RI^{2}\)の確認はもちろんのこと、最大値を算出するために変数を微分する高校数学の概念も復習できるからです。

第2章 正弦波交流

この章では、フェーザ表示はまだ登場しません。瞬時値(時間領域)で回路方程式を解くため、計算が煩雑になりやすいです。第1章と同じく、流すくらいの確認で丁度良いかもしれません。

問題[1] 正弦波交流の向き

普段、無意識に電圧と電流の向きを決めていますが、論理的に判断するためのエッセンスが詰まっています。知識と理解の確認に見ていると良いです。

問題[3] 波形の図示 ☆★★

本文は、意外と院試の問題として出題されます。確かに、問題文でいきなり式を与えられて内容をそのまま図示することは少ないものの、回路を解いた結果得られた式を最終的に図示するパターンは出てきます。グラフを書いた経験が少ない人は、やっておきましょう。

問題[25] 磁気エネルギーの計算 ☆★★

磁気エネルギーの式を聞かれて、パッと出てこない方は解いてみましょう。\(U=¥frac{1}{2}LI^{2}\)ですが、大学によっては問われることがあります。

問題[34] 発振周波数 ☆★★

コイルでかかる電圧とコンデンサでかかる電圧の和が0であるとき、回路に電流は流れないことを説明する問題です。フェーザ表示でも解くことはできますが、瞬時値のままの計算でも解けます。

問題[41] 有効電力、無効電力、力率の計算 ☆☆★

定義に基づいて計算するだけですが、大学範囲になります。電気情報系の学生ではない方は、チェックしましょう。後段の章にもこの概念はよく出てきます。問題[40],[42]~でも類似の問題はありますが、回路の定数を求める練習も含まれているため、この問題をオススメしました。

第3章 ベクトル記号法

本章からフェーザ表示の概念が出てきます。こちらの記事でも詳しく解説していますが、大学の電気回路を学ぶ上での必須の概念となります。

とはいえ、やっていることは単純な複素数の計算です。演習不足の方は、本章の内容を確認しておきましょう。

問題[10] 合成アドミタンスの計算 ☆☆★

本文は、電力工学を院試の出題範囲とする大学、電験の試験で頻出の回路構成となります。電気情報系の学生でも、一瞬手が止まるかもしれません。各自、確認しておいた方が良い内容です。

問題[12] 合成アドミタンス、インピーダンスの計算 ☆☆★

コンダクタンス、サセプタンス、アドミタンス、インピーダンスの意味を確認しながら解くことができます。後者2つは問題によく出てくるので分かるものの、前者2つについて分からなかった方は確認しておきましょう。

問題[19] 瞬時値とフェーザ表示の変換 ☆★★

こちらは、様々な大学の院試問題で頻出となります。(1)のジャブ打ち的な立ち位置で出てきます。必ず解かなければならない問題ですので、自身のない方は確認しましょう。

問題[22] 回路に流れる電流のフェーザ表示 ☆☆★

オームの法則により、回路に流れる電流を求め、その結果を複素数平面に図示する問題です。ここまで簡単な計算で院試で問われることは少ないものの、解答のプロセスは理解しておく必要があります。前後の問題でも同じ練習ができますので、どれか一つは確認しておきましょう。

問題[44] 抵抗を変化させての力率の調整 ☆☆★

これくらいの分量、内容が一般的な大学の院試レベルの問題になります。途中、二次方程式を解く手間がかかりますが、計算に慣れておく意味での演習を推奨します。

問題[46] 共振時の振る舞い ☆☆★

共振時、回路に流れる負荷電流は負荷に無関係であることを示す問題です。共振=虚部が0であることは必ず覚えておきましょう。院試でもよく出てきます。

問題[55][56][57]回路に流れる電圧と電流が同相になる条件 ☆☆★

本問もよく院試で出てきます。同相になる=回路のインピーダンスの虚部が0であることと同義です。この考え方で解くことができますので、是非練習しておきましょう。

問題[55]に限らず、以降の問題は院試で出てきてもおかしくない問題揃いです。どれか1問は確認しておきましょう。

問題[70] ブリッジ回路に負荷を接続したときのインピーダンス ☆☆☆

だいぶ複雑な回路になってきました。合成インピーダンスを求めるために、ある電圧源\(V\)を仮定し、その時に流れる電流\(I\)を求め、その比を取っています。後段の章でもよく出てくる考え方ですので、ここでチェックしておくことをオススメします。

問題[84] フェーザ表示を用いた消費電力の計算 ☆☆★

複素電力から有効電力を求める方法で解いています。電圧または電流の共役複素数を取ることだけは忘れないようにしましょう。

問題[88] 供給電力最大則 ☆☆★

消費電力の式を求め、微分して最大化条件を求めていますが、後段の章で結果だけを勉強する機会があります。とは言え、導出からできることに越したことはないため、過程を知らない方はチェックしておきましょう。

問題[98] 回路全体の有効電力、無効電力 ☆☆★

回路を構成している素子\(Z_{1},Z_{2}\)それぞれで発生する有効電力、無効電力を足し合わせて全体の結果を求める問題です。前段の問題で解き方をマスターしていれば、特に難しいことは無いはずですが、仕上げになります。

問題[101] フェーザ表示の応用問題 ☆☆☆

回路を構成する二つの素子に流れる電流、電圧を求め、これを複素数平面に図示する問題です。院試レベルの問題のため、電気系の学生でも演習する価値ありです。

第4章 交流回路

いよいよ、院試問題として問われる章に入ってきました。Q値など、一部難しい概念はありますが、基本的に複素数の計算で解決できる問題が多いことを念頭に進めていきましょう。

序盤の問題は、共振周波数を求める問題が多く、これに関しては第3章で十分演習済みだと判断しましたので飛ばします。

問題[18] Q値を求める問題 ☆☆★

Q値の式に合成抵抗を当てはめる問題です。結果を知っていれば難しくは無いですが、人によっては手も足も出なかったかもしれません。

問題[26] 複雑な回路の共振条件 ☆☆☆

院試では、本問くらいの回路の構成で問われることが多いです。計算がしんどいですが、訓練の必要はあります。答えは他の問題と同様にシンプルなものに落ち着きますが、その過程が非常に重要です。

問題[35] 磁気結合回路に流れる電流 ☆☆★

今までは、コイルがそれぞれ独立している場合の問題ばかり考えてきましたが、ここから相互インダクタンスの概念が登場します。

こちらの記事で詳しく扱っていますが、T型回路に変換できたりします。その練習に使いましょう。

問題[53] 回路に流れる二つの電流の位相差がπ/2になる条件 ☆☆☆

前章では、同位相になるケースを取り扱ってきましたが、位相差がπ/2になる条件を問われる場合があります。同位相の場合は虚部が0でしたが、位相差π/2の場合は実部が0になることに注目します。これが分かれば、本文は怖くありません。

問題[65]-[71] ブリッジ回路の平衡条件 ☆☆☆

どれか一問は解いておきましょう。それくらい、院試で頻出の問題です。ただし、やっていることは第1章で勉強した平衡条件\(R_{1}R_{4}=R_{2}R_{3}\)を様々なブリッジ回路の構成に当てはめているだけです。

問題[72][73] 複雑なブリッジ回路の平衡条件 ☆☆☆

ブリッジ回路の一部にデルタ型のループが存在しています。Δ-Y変換を用いればブリッジ回路に帰着できますが、煩雑な計算になります。慣れておくためにも練習しておきましょう。

問題[89]-[94] ベクトル軌跡 ☆☆☆

どれか1問は確認しておきましょう。ωを変化させたときの目標パラメータの変化を複素数平面に図示する問題です。やっていることは単純ですが、院試でぶっつけ本番で解くには面食らう内容だと思います。

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