院試でよく出るフーリエ変換の証明問題

フーリエ変換とは

時間領域tの関数f(t)を、下記のように周波数領域F(ω)に変換することを言います。

(1)F(ω)=f(t)ejωtdt

これにより、f(t)の持っている周波数成分を抽出することができます。

産業界では、信号処理、非破壊検査など、様々な用途に使用されています。

フーリエ変換を出題する大学

  • 必須問題で不定期に出題:神戸大
  • 選択問題で毎年出題:東大(第3問)、阪大(電気系)、電通大(信号処理)
  • 選択問題で不定期に出題:京大(通信情報)、東北大(数学基礎)、農工大(数学)

特に、東大、阪大の院試ではフーリエ変換の性質の証明問題が出題されます。

本記事では、どの教科書でも紹介される事項からやや発展的なものまで、院試で問われやすい関係式、性質を下記に紹介していきます。

フーリエ変換の性質

性質1 フーリエ変換が可能である必要十分条件

絶対積分可能であることです。

常識と思うかもしれませんが、実際に東大電気系の問1で出題されたことがあります。侮れません。

数式として表すと下記になります。

(2)|f(t)|dt<

十分性は下記になります。

|f(t)|dtが有限ならば、|ejωt|=1より

(3)|f(t)|dt=|f(t)ejωt|dt

だから、

f(t)ejωtdtも有限である。

性質2 F(ω)=R(ω)+jX(ω)の性質

F(ω)を実部R(ω)、虚部X(ω)に分けると、下記の関係式が成立します。

(4){R(ω)=f(t)cosωtdtX(ω)=f(t)sinωtdtR(ω)=R(ω)X(ω)=X(ω)

証明

オイラーの公式より、ejωt=cosωtjsinωtなので

(5)F(ω)=f(t)ejωtdt=f(t)(cosωtjsinωt)dt=R(ω)+jX(ω)

ejωt=cosωt+jsinωtで、虚部の符号が変わるので

(6){R(ω)=R(ω)X(ω)=X(ω)

上記の証明より、共役複素数F(ω)について

(7)F(ω)=R(ω)+jX(ω)=F(ω)

も成立します。

補足

R(ω)をフーリエ余弦変換。X(ω)をフーリエ正弦変換と言います。

f(t)が偶関数なら、実部の項のみ残るので初めからR(ω)だけ考えれば良く
f(t)が奇関数なら、逆に虚部の項X(ω)のみ考えれば良いです。

性質3 比例推移 F[f(tt0)]=F(ω)ejωt0

証明

F[f(tt0)]=f(tt0)ejωtについて、

tt0=xの変数変換を行うことで

(8)F[f(tt0)]=ejωt0f(t)ejωt=F(ω)ejωt0

補足

同じ考え方で、周波数領域に対しての比例推移も成立します。

(9)F[f(tt0)ejω0t]=F(ωω0)

性質4 F[F(t)]=2πf(ω)

ある関数f(t)をフーリエ変換した関数F(ω)をもう一度フーリエ変換すると、フーリエ変換前の関数の正負が反転した状態になる。ことを示しています。

この性質、試験で意外と出てきます。

知識として持っておくと、証明したときの計算ミスに気付くことができます。

証明

フーリエ逆変換の公式を用いる。

(10)f(t)=12πF(ω)ejωtdω

だから、

(11)2πf(t)=F(ω)ejωtdω

ttに置き換えると

(12)2πf(t)=F(ω)ejωtdω

tをωに置き換えると

(13)2πf(ω)=F(t)ejωtdt=F[F(t)]

性質5 F[f(t)]=jωF(ω) (※f(0)=0,f(±)=0)

これは、院試でよく出るラプラス変換の公式の記事でも説明しました。

sjωに置き換えれば良いので、気づきやすいかもしれません。

証明

部分積分より

(14)F[f(t)]=f(t)ejωtdt=[f(t)ejωt]+jωf(t)ejωtdt=jωF(ω)

性質6 畳み込み積分のフーリエ変換

証明問題としての出題は少ないですが、知識としては必要です。

ある関数f1(t),f2(t)の畳み込み積分の記号をとすると

(15)F[f1(t)f2(t)]=F1(ω)F2(ω)

周波数領域で考えると、積分を省略できることが分かりました。

これは、信号処理のシステムでよく使用します。

時間領域で入出力を考えると、人間の手で計算することは大変だから、周波数領域で考える。と言うことですね。

性質7 パーシバルの公式

(16)|f(t)|2dt=12π|F(ω)|2dω

が成立します。

一例として、信号f(t)の消費電力を求める時によく使います。

f(t)自体は、式が複雑で人間の手で積分が難しいとき、F(ω)の2乗を積分して2πを割ることで求めることがあります。

|F(ω)|2=F(ω)F(ω)ですので、共役複素数を取るとさらに式を簡単にした状態で積分できます。

参考文献

H.P. スウ(著)、佐藤 平八(訳) フーリエ解析 工学基礎演習シリーズ1 第4章

※本書に限らず、外国の本は定理の証明が豊富なため、証明問題の多い大学院を受ける際は参考にした方が良いかもしれません。

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