【例題付き】単位法の概要と計算方法

問題1

発電所において、電圧$66\mathrm{[kV]}$、容量$500\mathrm{[MVA]}$、$%Z$が28%の3相発電機がある。
この発電機に、容量$600\mathrm{MVA}$、定格電圧$66\mathrm{[kV]}/275\mathrm{[kV]}$、%Zが20%の3相変圧器が接続されている。

(a)容量の基準値を1000MVAとし、発電機、変圧器の%Zを単位法表示で求めよ。
(b)無負荷であった変圧器の2次側を3相短絡したときに流れる短絡電流を単位法表示で求めよ。

問題2

下記のような三相送電線を考える。単位法の基準容量を$S_N=1000\mathrm{[MVA]}$、基準電圧を$V_N=500\mathrm{[kV]}$とし、リアクタンスを$X=50\mathrm{[Ω]}$、受電端電圧を$500\mathrm{[kV]}$とする。受電端側の負荷を$1000\mathrm{[MW]}+j500\mathrm{[MVA]}$とし、下記の問いに答えよ。なお、無効電力は遅れ側を正とする。

(1)基準電流$I_{BASE} \mathrm{[kA]}$および基準インピーダンス$Z_{BASE}\mathrm{[Ω]}$を求めよ。
(2)送電端電圧$\dot{V_{s}}\mathrm{[p.u.]}$を求めよ。

単位法とは

系統内のある地点における電流、電圧、容量を基準値とし、別の地点のパラメータを基準値に対する比として無次元化する方法です。電力系統には、昇圧、降圧するための変圧器が多数存在し、変圧器ごとに一次側、二次側の巻き数比が設定されています。変圧器のインピーダンスは、一次側/二次側から見る場合で異なり、回路計算が煩雑になる課題があります。

単位法を用いると、計算の煩雑さを低減できます。例えば、上記のような単相変圧器回路を考えます。まず、一次側について

  • 一次側の各パラメータ(物理値)
    • 入力電圧:$V_1=100\mathrm{[kV]}$
    • 電流:$I_1=10\mathrm{[kA]}$
    • インピーダンス:$Z_1=10\mathrm{[Ω]}$

に対し、一次側の基準パラメータを下記のように置きます。

  • 一次側の基準パラメータ
    • 入力電圧:$V_1=50\mathrm{[kV]}$
    • 電流:$I_1=2.5\mathrm{[kA]}$
    • インピーダンス:$Z_1=20\mathrm{[Ω]}$

上記の比を取ると、$100\mathrm{[kV]}=2\mathrm{[p.u.]} \quad 10\mathrm{[kA]}=4\mathrm{[p.u.]}$になります。また、基準インピーダンスは$50/2.5=20\mathrm{[Ω]}$になるわけですから、$10\mathrm{[Ω]}=0.5\mathrm{[p.u.]}$になります。

二次側の場合も同様に考えます。一次側:二次側の巻き数比を1:2とすると、二次側の電圧は一次側の2倍、電流は1/2倍になるので、二次側のパラメータは下記のようになります。

  • 二次側の各パラメータ
    • 入力電圧:$V_1=200\mathrm{[kV]}$
    • 電流:$I_1=5\mathrm{[kA]}$
    • インピーダンス:$Z_1=40\mathrm{[Ω]}$
  • 二次側の基準パラメータ
    • 入力電圧:$V_1=100\mathrm{[kV]}$
    • 電流:$I_1=1.25\mathrm{[kA]}$
    • インピーダンス:$Z_1=80\mathrm{[Ω]}$

基準インピーダンスは$80\mathrm{[Ω]}$となるので、これに二次側に現在かかっているパラメータの比を取れば良いです。基準パラメータだけでなく、現在かかっているパラメータも巻き数比に依存することから、一次側のパラメータを用いて、

$V_2=200\mathrm{[kV]},I_2=5\mathrm{[kA]},Z_2=40\mathrm{[Ω]}$になります。

よって、電圧、電流、インピーダンスは、
それぞれ$200/100=2\mathrm{[p.u.]} , 5/1.25=4\mathrm{[p.u.]} , \, 40/80=0.5\mathrm{[p.u.]}$になります。
一次側の単位法表示と一致します。

これより、単位法を用いると、変圧器の影響(電圧階級の差)を考える必要が無くなります。

解答例(問1)

(a)%Z(単位法表示)

発電機:基準500MVA→1000MVA
変圧器:基準600MVA→1000MVA

に変換するので、この比を取って

\begin{cases}28*\dfrac{1000}{500}=56 \mathrm{\%} \\ 20*\dfrac{1000}{600}=33.3 \mathrm{\%} \end{cases}

(b)三相短絡電流の計算

発電機と変圧器の合成インピーダンス$Z_b$を基準電流で割れば良い。直列で接続されているので

\begin{aligned}I_{s}=\dfrac{I_{BASE}}{0.56+0.333}=1.12I_{BASE}\, \mathrm{[p.u.]}\end{aligned}

以上より、基準電流の1.12倍流れる。

解答例(問2)

(1)基準パラメータの算出

三相送電線のため、√3が付くことを考慮し$S_{BASE}=\sqrt{3}I_{BASE}V_{BASE}$

\begin{cases}I_{BASE}=\dfrac{S_{BASE}}{\sqrt{3}V_{BASE}}=\dfrac{1000*10^{6}}{\sqrt{3}*500*10^{3}}=\dfrac{2}{\sqrt{3}}[\mathrm{kA}] \\ Z_{BASE}=\dfrac{V_{BASE}}{\sqrt{3}I_{BASE}}=\dfrac{500*10^{3}}{\sqrt{3}*\dfrac{2}{\sqrt{3}}*10^{3}}=250[\mathrm{Ω}]\end{cases}

(2)送電端電圧

与えられた負荷の単位法表示は、基準容量1000MVAより$1+j0.5\mathrm{[p.u.]}$

受電端電圧は$V_r=1.0 \, \mathrm{[p.u.]}$より送電線に流れる電流$\dot{I}$は

\begin{aligned}\bar{\dot{I}}=\dfrac{1+j0.5}{1}\end{aligned}

\begin{aligned}\dot{I}=1-j0.5[\mathrm{p.u.}]\end{aligned}

基準インピーダンスは$250[\mathrm{Ω}]$より、リアクタンスの単位法表示は

\begin{aligned}X=\dfrac{50}{250}=0.2[\mathrm{p.u.}]\end{aligned}

以上より、求める送電端電圧$\dot{V_{s}}$は

\begin{aligned}\dot{V_{s}}&=\dot{V_{r}}+jX\dot{I} \\ &= 1.0+j0.2(1-j0.5) \\ &=1.1+j0.2[\mathrm{p.u}]\end{aligned}

最後に

本問は、電力系統解析を行う上で必須事項がつまっています。今後の記事を理解する上でも必要です。

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