振動系の周波数を変化させたときの振幅の応答と共鳴曲線

問題

下記のように、質量$m$の質点をばね定数$k$のばね、減衰定数$b$のダンパに繋いだ振動系を考える。外力$F=\cos \omega t$を与えた時の振動特性を考える。次の問いに答えよ。

問1:この振動系の運動方程式を求めよ。
問2:運動方程式の解を$x=A\cos(\omega t – \delta)$で仮定する。このとき、$A,\delta$を$F,m,\omega,\omega_o=\sqrt{k/m},b$を用いて表せ。
問3:減衰定数$b$を変化させたときの振幅$A$の振る舞いについて述べよ。

共鳴曲線とは

外力の振動数を変化させたときの定常応答振幅の変化を表す曲線を言います。制御工学でも用いられることはありますが、古典力学の範囲でも解くことが出来ます。

共鳴曲線には、線形項のみで構成される線形系と非線形項も含まれる非線形系があります。院試においては、線形系で問われることが殆どですので、本記事でも線形系で扱います。機械系だけでなく、量子力学をはじめとする物性科目においても出題されることがありますので、電気系の学生も注意が必要です。

力学系と電気回路の共振イメージ

電気回路における共振の力学バージョンと捉えて頂いて問題無いと思います。

電気回路における共振点は、インダクタンス成分とコンデンサ成分が相殺し合っていました。インダクタンス成分は、電荷$q$の2階微分で、コンデンサ成分は電荷$q$の定常項になっていました。

力学系においても、位置$x$を変数とすれば、加速度$a$は位置の2階微分になります。よって、運動方程式の左辺$ma$がインダクタンス成分を表し、ばねによる力$-kx$がコンデンサ成分に対応します。この項に注目し、共振の性質を見ていきましょう。

また、以前の電気回路の記事において、Q値の紹介をしました。Q値とは、周波数を変化させたときの共振の鋭さを指す指標です。”鋭さ”と題するからにはピーク点を持っています。力学でも同様の事象を問3で確認します。変数$b$を変化させたときの振幅Aの変化を通して、同様にピークを持っていることを見てみましょう。

解答例

問1:運動方程式

記事上部に与えた図において、右方向の運動を正とすると、外力は正の向き、ばねの力とダンパの力は負の向きに作用するため

\begin{aligned}m\ddot{x}=-kx-b\dot{x}+F\cos \omega t\end{aligned}

問2:振幅$A$の解

$x=A\cos(\omega t – \delta)$を問1の結果に代入する。$\omega_o=\sqrt{k/m}$を用いると

\begin{aligned}\dfrac{F}{m} \cos \omega t &=A \left \lbrack {-\omega^{2}\cos(\omega t – \delta) -\dfrac{b}{m} \omega \sin(\omega t -\delta)+\omega^{2}_o \cos(\omega t -\delta)}\right \rbrack \\ &=A{(\omega^{2}_o – \omega^{2})\cos (\omega t – \delta)-A \dfrac{b}{m} \omega \sin(\omega t -\delta)} \end{aligned}

ここで、下記の三角関数の合成公式を用いる。

\begin{aligned}a \sin x + b \cos x=\sqrt{a^{2}+b^{2}} \sin (x+ \alpha)\end{aligned}

ただし、$\sin \alpha=\dfrac{b}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}} , \cos \alpha=\dfrac{a}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$である。(2)式右辺に対し、これを用いて

A(ωo2ω2)2+(bmω)2{ωo2ω2(ωo2ω2)2+(bmω)2cos(ωtδ)bmω(ωo2ω2)2+(bmω)2sin(ωtδ)}\begin{aligned} A \sqrt{(\omega_o^{2} – \omega^{2})^{2} + \left(\frac{b}{m}\,\omega\right)^{2}} \left\{ \dfrac{\omega_o^{2} – \omega^{2}} {\sqrt{(\omega_o^{2} – \omega^{2})^{2} + \left(\frac{b}{m}\,\omega\right)^{2}}} \cos(\omega t – \delta) – \dfrac{\frac{b}{m}\,\omega} {\sqrt{(\omega_o^{2} – \omega^{2})^{2} + \left(\frac{b}{m}\,\omega\right)^{2}}} \sin(\omega t – \delta) \right\} \end{aligned}

cos関数に対する加法定理により

\begin{cases}A \sqrt{(\omega_o^{2} – \omega^{2})^{2}+\left(\dfrac{b}{m} \omega \right)^{2}}\cos(\omega t – \delta + \alpha)=\dfrac{F}{m} \cos \omega t \\ \dfrac{\omega^{2}_o – \omega^{2}}{\sqrt{(\omega_o^{2} – \omega^{2})^{2}+\left(\dfrac{b}{m} \omega \right)^{2}}}=\cos \alpha \\ \dfrac{F/m}{\sqrt{(\omega_o^{2} – \omega^{2})^{2}+\left(\dfrac{b}{m} \omega \right)^{2}}}=\sin \alpha\end{cases}

上式を、$A,\alpha$に対し整理をすると

\begin{cases}A=\dfrac{F/m}{\sqrt{(\omega_o^{2} – \omega^{2})^{2}+\left(\dfrac{b}{m} \omega \right)^{2}}} \\ \alpha=\delta=\tan^{-1}\dfrac{b}{m}\dfrac{\omega}{\omega_o^{2}-\omega^{2}}\end{cases}

問3

問2の結果(振幅A)を図示することを考える。分母が最小化するとき、振幅$A$は最大になるのだから、$\omega= \omega_o$の時に最大化する。

一方で、$b$を変化させた場合の挙動も考える。$b$を大きくしたときは分母が大きくなるので共振点付近の$A$はあまり大きくならない。代わりに、$\omega=0$の方が$b$が関わる項を0にできるため、振幅が大きくなる。

$b$を小さくしたときは、共振点付近の分母が0に近くなり、発散しやすくなる。この関係を下図に表す。

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