【東京大学大学院】電気系専攻 第3問の傾向と対策

はじめに

本記事は、有名大学の院試解答を2年半執筆してきた管理人が作成しています。東大の第3問は、情報理論、信号処理で構成されています。傾向と対策方針を紹介します。

東大 電気系専攻 院試の全体

下記の試験科目6題から2題を選択し、解答します。2題合わせて150分と、時間にゆとりがあります。

その分、一つ一つの分野は他大と比較してしっかり問われます。

東大 電気系院試の大問構成
  1. 電磁気学(第1問)
  2. 電気回路、電子回路(第2問)
  3. 情報理論、信号処理(第3問) ←本記事で紹介
  4. 論理回路、アルゴリズム論(第4問)
  5. 量子力学、半導体デバイス(第5問)
  6. 制御工学、電気エネルギー工学(第6問)

第3問は、第4問と似ています。他の分野と比較して初学の学習コスト(時間)があまりかかりません。

情報理論と信号処理(アナログ/ディジタル)の2題で構成されています。講義として3個分です。

信号処理(アナログ)は、フーリエ変換を利用することが殆どで、数学の前提知識が利用できます。よって、実質的には2.5個分の講義を勉強することになります。

情報理論、信号処理の傾向と対策

全体

東大の情報理論、信号処理は、オーソドックスな問題が多いです。

最近4か年は以下の分野の出題がありました。

  • 2023年:2元対称通信路の容量。連続時間信号のフーリエ変換。インパルス応答。エネルギーの算出。
  • 2022年:無記憶情報源のエントロピー、情報量の計算。アナログフィルタを用いた変調、復調
  • 2021年:状態遷移行列のエントロピー計算。アナログフィルタを用いた変調、復調
  • 2020年:エントロピー、情報量の計算。ディジタルフィルタの伝達関数の計算

他大学の院試問題でも良く問われる分野です。何か東大向けの対策は必要ないです。市販の参考書の理解を深めることが合格への近道です。

対策に使える参考書(情報理論)

東大のシラバスで紹介されている本など、有名どころの参考書を選択すれば間違いないと思います。

情報理論 今井秀樹 (著)

東大生以外にも広く読まれる名著です。東大院試対策に限らず、是非手に取って欲しいです。演習問題の解答は巻末に無いですが、ネットで探せば出てきます。

情報理論のエッセンス 平田廣則 (著)

管理人としては、こちらもオススメします。第2版になり、かなり見やすくなりました。演習問題の解答も充実しています。初学者向けの一冊です。

対策に使える参考書(アナログ信号処理)

OHM大学テキスト通信方式 梅原 大祐 (著), 山本 高至 (著), 村田 英一 (著), 田野 哲 (著), 守倉 正博 (編集)

信号処理に関する参考書は少ないですが、演習問題も交えながら分かりやすく解説されています。困ったらの一冊です。

対策に使える参考書(ディジタル信号処理)

新しい信号処理の教科書: 信号処理の基本から深層学習・グラフ信号処理まで 馬場口 登 (著), 中村 和晃 (著)

阪大出身の教授が執筆された参考書です。他のディジタル信号処理の教科書とは比べ物にならないくらい演習問題と解答が充実しています。そして、解説も丁寧です。

購入した管理人は感銘を受けました。最近流行りのニューラルネットワークに関する説明まであります。院試に限らず、一生持っていたくなる書籍です。それくらい素晴らしいです。

ただ、他の教科書に対して少しだけレベルが高めです。(演習問題を解くことで付いていけるので心配要りませんが)

Python対応 ディジタル信号処理 阿部 正英 (著), 八巻俊輔 (著), 川又政征 (著), 樋口龍雄 (監修)

東北大の指定教科書です。今流行りのPythonのサンプルコードも絡めながら説明されています。基本問題が多く、初学者向けに非常に優しい構成になっています。(MATLAB版もありますのでお好きな方を購入すると良いです。)

ひとつ前に紹介した参考書「新しい信号処理の教科書」が難しいと感じる方は、まずこちらを拝読すると良いです。

対策に使える他大学の問題

情報理論、アナログ信号処理、ディジタル信号処理の順に紹介していきます。

分野ごとの類題 (赤字:オススメ)
  1. 情報理論:京大(通信情報)、阪大、名大
  2. アナログ信号処理:京大(通信情報)、東北大(通信工学)
  3. ディジタル信号処理:阪大、電通大

全体的に、出題される大学自体に限りがあります。よって、まずは分野ごとに出題する大学を記載していきました。

1.情報理論は、京大と阪大がオススメです。理由は過去問の入手がしやすいことと、東大の問題と傾向が似ているからです。

2.は京大がオススメです。変調、復調に関する問題を東大と同様に問うことが多く、傾向が似ています。東北大も試験範囲に入っていますが、最近扱う問題の傾向が変わってきており、通信工学自体も廃止になりそうなので、黒太字です。

3.は、阪大、電通大両方オススメですが、阪大の方が若干難しいと思います。東大の院試を見据えるならば阪大レベルの演習をすることで盤石になると考え、阪大を赤太字にしました。

最後に

東大 電気系院試 第3問(情報理論、信号処理)は、学習コストが小さめです。電磁気学、電気回路、電子回路を本命に選択する方が多いと思いますが、保険に選択できる科目と考えます。

第4問(論理回路、アルゴリズム)も同じ性質を持ちます。ご自身が勉強しやすい方を選択すると良いと思います。

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