下記の積分方程式の一般解をそれぞれ求めよ。
(a)\begin{eqnarray}f\left( t\right) -2\int _{0}^{t}f\left( t-\tau \right) f\left( \tau \right) d\tau =\cos t\end{eqnarray}
(b)\begin{aligned}& f^{\prime}(t)-\int^{t}_{0} \cos(t-\tau)f(\tau)d\tau=1 \quad(t>0) \\ &f(0)=0 \end{aligned}
ただし、下記のラプラス変換公式は用いて良い。
\begin{cases}L\left[ \sin t\right] =\dfrac{1}{s^{2}+1}\\ L\left[ \cos t\right] =\dfrac{s}{s^{2}+1} \\ L[f^{\prime}(t)]=sF(s)-f(0) \\ L[t^{n}]=\dfrac{n!}{s^{n+1}} \end{cases}
はじめに
微分方程式をラプラス変換し、解を求める方法は多数のサイトで説明されています。積分方程式に対しても同じ手法で解決することができますが、あまり解説するサイトが少ないように感じました。
そこで、本記事では、あえて積分方程式をラプラス変換を用いて解いてみます。
院試で出題されているところはあまり見たことがありません。心配性な方や、定期試験対策として演習を積むと良いと思います。
本記事で覚えたいこと
- ラプラス変換の公式(合成積)\begin{eqnarray}L\left[ f\left( t\right) \right] L\left [g\left( t\right) \right] =\int _{0}^{t}f\left( \tau \right) g\left( t-\tau \right) d\tau\end{eqnarray}を利用して与えられた積分方程式をラプラス変換する
- \(F(s)=\)(sの多項式)形に変形し、逆ラプラス変換。解を求める。
1.がキーポイントです。複雑そうな積分方程式でも、畳み込みであることを見抜けば、\(\int\)内にある2つの関数をそれぞれラプラス変換すれば良いです。
これさえクリアできれば、通常の微分方程式を解く方法と変わりません。
解答例
両方とも同じ解き方で解決できますが、慣れも含めて2問解きます。
解答例(a)
(1)式をラプラス変換すると
\begin{align}F\left( s\right) -2F\left( s\right) \dfrac{1}{s^{2}+1}&=\dfrac{s}{s^{2}+1}\\ \dfrac{s^{2}-1}{s+1}F\left( s\right) &=\dfrac{s}{s^{2}+1} \\ F\left( s\right) &=\dfrac{s}{s^{2}-1}\end{align}
これを部分分数分解し、逆ラプラス変換すると
\begin{align}F\left( s\right) &=\dfrac{1}{2\left( s+1\right) }+\dfrac{1}{2\left( s-1\right) }\\ f\left( t\right) &=\dfrac{1}{2}e^{t}+\dfrac{1}{2}e^{t}\end{align}
であることが分かった。
解答例(b)
積分項に$\cos$が入っていますが、畳み込み積分の考え方により
\begin{aligned}L\left[\int^{t}_{0}g(t-\tau)f(\tau)d\tau \right]=G(s)H(s)\end{aligned}
この関係を用いると、与えられた式のラプラス変換は下記のようになります。
\begin{aligned}sF(s)-f(0)-\dfrac{s}{s^{2}+1}F(s)=\dfrac{1}{s}\end{aligned}
$f(0)=0$の関係も含め、上式を整理すると
\begin{aligned}F(s)\left(s-\dfrac{s}{s^{2}+1}\right)=\dfrac{1}{s} \\ F(s)\left(\dfrac{s^{3}}{s^{2}+1}\right)=\dfrac{1}{s} \\ F(s)={s^{2}+1}{s^{4}} \\ F(s)=\dfrac{1}{s^{2}}+\dfrac{1}{s^{4}}\end{aligned}
問題文((3)の第4式)で与えられた逆ラプラス変換の公式により、求める解は
\begin{aligned}f(t)=t+\dfrac{1}{6}t^{3}\end{aligned}
最後に
2つの関数を畳み込みをラプラス変換すると、それぞれの関数のラプラス変換の積で表されるCHECK1の公式は、フーリエ変換でも使用します。
この事実を使用した問題が過去にも出てきていますので、後ほど紹介できればと思います。
参考文献
電子情報系の応用数学:田中 和之(著) 林 正彦(著) 海老澤 丕道(著) P159,160

