下記の系におけるポインティングベクトルを求め、エネルギーの流れについて考察せよ。
(1)半径
(2)内半径
(3)半径

ポインティングベクトルとは
題名から察するかもしれませんが、電磁エネルギーの流れを示すベクトルになります。
電場
あまり院試には出てこないですが、理解が深まるため、下記で導出をします。
導出
電磁エネルギー密度は、静電エネルギー密度
で表される。
一方で、電場と磁場の外積の発散に関して注目する。
これに、下記のマクスウェル方程式を代入する。
すると、下記のように式変形できる。
上式のうち、右辺の第1項は単位体積当たりの電磁エネルギーの減少率。第2項はジュール熱によるエネルギー損失になります。
その分を補填する形で、左辺の
問題の解法
基本的に、ポインティングベクトルの流れを考える問題で、目新しい系はあまり出てきません。同軸ケーブル(円柱)か、コンデンサで問われることが多いです。
ですので、今までの単元で学んできた通り、電場
解答例
(1)両端の電位差がVの円柱

電場
磁場の大きさは、アンペールの法則より、半径
なお、向きは周方向である。
求めるポインティングベクトル
これを円柱の側面積
(2)同軸ケーブルのエネルギーの流れ

同軸ケーブルの内径に電荷Q、外径に電荷-Qを与えたとする。
ガウスの法則により、求める電場は
内径と外径の電位差
これより、電場の大きさは、問題文で与えられている定数を用いて
次に、磁場
電場Eは径方向、磁場Hは周方向を向くので、ポインティングベクトルSはz方向を伝わる。その大きさは
これを、半径a<r<bの円の領域で面積分すれば
よって、電源から供給されたエネルギーVIは同軸ケーブル内を減衰することなくz方向に伝搬していく。
(3)コンデンサ内のエネルギーの流れ

コンデンサ内には変位電流
極板間の距離dのため、コンデンサ内の電場
変位電流は、下記で求められる。
これより、磁場Hは、アンペールの法則を変形して(半径r)
以上より、ポインティングベクトルの大きさは
ここで、
(21)式は(20)式の結果に対し
と表すことができる。電源から供給されたエネルギーVIは、コンデンサの側面から内部に流入していることが分かった。
最後に
ポインティングベクトルに関する問題は、様々な大学の院試で出題されます。上記の典型パターンは、それぞれ計算量が多いため、段取りを覚えておくことを推奨します。