【初学者向け】電子回路のオススメ参考書紹介

はじめに

本記事は、先日投稿した電磁気学および電気回路の初学者向けの勉強方針を指南する記事の電子回路版になります。

電子回路は、一見すると見慣れない素子が多く、取っつきづらいイメージを持ちがちです。しかし、勉強を進めてみると、パターン化された問題が多く得点期待値が高い科目です。

どういうイメージで勉強を進めていくと、全体的な理解にたどり着く時間が早くなるのか。一助になると幸いです。

大学における電子回路学

主に、トランジスタ、MOSFETを用いた回路とオペアンプを用いた回路の利得を求める学問に終始します。

  • トランジスタ、MOSFETを初めとする非線形素子を微小信号等価回路を用いて線形回路化し、その時の利得を求めます。
  • オペアンプは、内部抵抗が∞であることに注目し、仮想接地の概念を用いて回路の利得を求めます。

・・・それだけか?と思うところですが、実際、上記の作業を徹底することで合格点が取れることが多いです。

大学受験では、ダイオードを初めとする非線形素子の特性をグラフで与えられて、回路方程式から立式した関数の交点を求めることで、目的パラメータを求める問題(下記)がたまに出ていました。大学でも、こういった解法を用いることはたまにありますが、だいぶマイナーです。

では、その代わりに何をするのか?下記のように、非線形素子を線形素子に置き換える作業に終始します。

2端子対回路が前提ですので、電気回路の後半範囲まで勉強していないと厳しい部分もあります。しかし、上記の置き換え作業に慣れてしまえば、後は電気回路の知識で解くことができます。

もちろん、エミッタ接地、ベース接地など、各種接地状態における特性も暗記しておく必要がありますが、他科目と比較して暗記すべき項目も少ないです。

オペアンプに対しても似たようなものです。上記のように、電子回路特有の決まり事を覚えて、その時の利得を求めることに終始します。

早ければ、大学2年生から履修が始まる大学もあり、それだけ早期対策も可能です。是非、下記で紹介する参考書を用いて得点源にする一助となると幸いです。

具体的な参考書

等価回路でしっかり理解! 詳解 電子回路 𠮷河 武文 (著), 三木 拓司 (著)

参考書選定の観点
  • 説明の分かりやすさ:☆☆☆★
  • 演習問題の選定内容、量:☆☆☆☆
  • 例題、演習問題の解答の量、丁寧さ:☆☆☆☆

本書が最もお勧めです。最近発行された書籍であるため、演習問題の選定が今どきの院試問題の傾向とも合致しています。初学者にとって、微小信号等価回路の作図問題が難しく感じますが、図を多分に用いているため、その対策もばっちりできます。

二端子対回路に関する説明が無いことだけが心残りですが、電気回路の参考書で十分対策できます。電気回路も院試勉強でほぼ間違いなく勉強しますので、その時に購入した参考書で対策しましょう。

電子情報回路 IⅡ 樋口 龍雄 (著), 江刺 正喜 (著) 

参考書選定の観点
  • 説明の分かりやすさ:☆☆☆★
  • 演習問題の選定内容、量:☆☆☆★
  • 例題、演習問題の解答の量、丁寧さ:☆☆☆★

こちらもオススメです。バイポーラトランジスタ、MOSFET、オペアンプの基本知識はⅠ巻でまとまっています。Ⅱは発振回路が中心ですのでⅠだけでも十分対策できると思います。

Ⅰ巻の最初は、半導体デバイスに関する基本知識が含まれているため、論述対策も視野に入れるならばこちらになると思います。

とは言え、電子回路において、半導体デバイス分野にまで跨った論述問題を出す大学、傾向が最近限られてきました。また、演習問題も、章の前半のものは最近の傾向に合致する選定になっていますが、後半のものは少し微妙です。

こういった事情から、2番目の紹介としました。昔ながらの書籍のような、堅めの解説を好む方にオススメです。

番外編:改訂新版 図解でわかる はじめての電子回路 大熊 康弘 (著) 

本当に初学者向けならば、こちらの参考書もあります。実際、筆者は定期試験で単位を取るために本書で初めて勉強しました。
当然分かりやすいのですが、この時は、電子回路の全容が結局見えていなかったので、個々に覚える羽目になりました。

繰り返しになりますが、院試における電子回路は微小信号等価回路を書けるかの学問です。このルールさえ知っていれば、上記で説明した書籍を最初に使用しても理系学生ならばついていけると考えています。よって、どうしても苦手の方のみの購入にした方が良いと思います。

最後に

電子回路は、信号の増幅機能だけでなくスイッチング特性も持ち合わせています。院試勉強して終わりかと思いきや、企業に就職してからも意外とよく出てきます。見たことの無い回路図だ。と拒否感を覚える前に、学生の内からある程度勉強しておくことをオススメします。

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