ヘルムホルツコイルの特性と一様磁場を導出する過程問題

問題

下記のように、半径$a$の同じコイルを間隔$2d$で平行に配置し、同じ向きに電流を流す。$a=2d$のとき、中心軸$x$上にある中点$O$周りの磁場は一定になることを示せ。

なお、計算には$x \ll a,d$とし、テイラー展開を用いた下記の近似式を用いて良い。

(a2+(d±x)2)32=(a2+(d±x)2)32[132(x2±2xda2+d2)+158(x2±2xda2+d2)2+]\begin{aligned}(a^{2}+(d±x)^{2})^{-\frac{3}{2}}=(a^{2}+(d±x)^{2})^{-\frac{3}{2}} \left \lbrack 1-\dfrac{3}{2}\left ( \dfrac{x^{2}±2xd}{a^{2}+d^{2}}\right)+\dfrac{15}{8}\left ( \dfrac{x^{2}±2xd}{a^{2}+d^{2}}\right)^{2}+ \cdots\right \rbrack\end{aligned}
図 ヘルムホルツコイル

ヘルムホルツコイルとは

ほぼ一様な磁場を簡易的な構造で作ることができる工学装置です。

2つのコイルが同じ半径$a$を持ち、$d=2a$平行に離れている時、中心軸上の磁場は一定になります。無限長ソレノイドコイルでも中心軸上の磁場は一定になりますが、2つのコイルを決まった規則で配置することでも一定になります。

こちらの方が製作することが楽であることから、物理実験でよく用いられています。基準となる磁場量が簡単に求められることから、実験に用いる磁気センサの誤差を理論値と比較することができます。(校正)

但し、無限長ソレノイドのように、厳密には一様になるわけではありません。問題文で誘導しているように、テイラー展開を使用した近似計算によって、一様であるとしています。また、中点$O$という限られた点の周りにおいて一様になることに注意しましょう。ただ、センサの校正をする観点では一点分かれば十分です。よって、上記で述べたように物理実験に役立ちます。

よく、名大の院試で出題されます。近似計算方法を知っておかないと完答できないですので、同大学を志望する方はチェックしておきましょう。

解答の方針

ビオサバールの法則を使用し、一つのコイルが中心軸$x$上に与える磁場を計算。今回はコイル2つですので、2つ分を足して、そこから近似計算を考えると良いです。

中心軸上に与える磁場の計算は、以前の記事で紹介しました。リンク先の記事の(11)式がそうです。相互インダクタンスの計算にも使用するなど、院試問題の序盤で使うことが多いです。必ず押さえておきましょう。

\begin{aligned}B_{x}= \dfrac{\mu_{o}Ia^{2}}{2 (a^{2}+x^{2})^{3/2}}\end{aligned}

解答例

(1)式を2つのコイルに適用し、$x$軸上の合成磁場$B_x$を求める。中点$O$を原点とし、そこから$x$離れた地点を考える。各々のコイルから発生する$x$軸上の磁場は、$d → d+x,d-x$とし、

\begin{aligned}B_x=\dfrac{\mu_{o}Ia^{2}}{2}\left \lbrack \dfrac{1} {\lbrace a^{2}+(d+x)^{2} \rbrace ^{3/2}}+\dfrac{1}{\lbrace a^{2}+(d-x)^{2} \rbrace ^{3/2}} \right \rbrack \end{aligned}

問題文で与えられた近似式を利用すると

\begin{aligned}B_x \sim \dfrac{\mu_{o}Ia^{2}}{2\lbrace a^{2}+d^{2} \rbrace ^{3/2}}\left \lbrack 2-\dfrac{3(a^{2}-4d^{2})} {( a^{2}+d^{2} )^{2}}x^{2} \cdots \right \rbrack \end{aligned}

$a=2d$であるため、$x^{2}$の項は0になる。

\begin{aligned}B_x &= \dfrac{\mu_{o}Ia^{2}}{2\lbrace a^{2}+d^{2} \rbrace ^{3/2}}・ 2 \\ &= \dfrac{4\mu_{o}I d^{2}}{\lbrace 4 d^{2}+d^{2} \rbrace ^{3/2}} \\ &= \dfrac{4\mu_{o}I d^{2}}{5\sqrt{5}d^{3}} \\ &=\dfrac{4 \mu_{o} I}{5 \sqrt{5}d} \end{aligned}

変数$x$が存在しないため、磁場は一様であることが証明できた。

最後に

近似に慣れていれば、基本的な計算で解くことができます。こういった計算は、大学受験でも出てきます。是非、その時の記憶を思い出しながら完答できると幸いです。

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