会社でよく使うため、履修をオススメする大学の講義

はじめに

本ブログでは、大学で勉強する電気情報系の講義でよく出てくる問題を多数取り扱っています。定期試験、院試などを見据えて、解けるように勉強するはずです。

しかし、勉強した内容全てを会社に入ってから使うのでしょうか?筆者の答えはNOです。担当領域によって変わりますし、そもそもの大学のカリキュラムは、特定の仕事に特化したものではありません。

一方で、様々な業務場面においてよく使う講義は確かに存在します。所謂汎用性の高い講義です。学問に対して使える、使えない軸の話は禁句かもしれないですが、会社でよく使う知識は間違いなくあります。そこで、本記事では、筆者が大学で勉強して良かった講義と、実はあまり使わなかった講義をそれぞれ紹介していきます。今後の履修計画の足しになると幸いです。

よく使う講義

大学生活を満喫するために、試験の過去問集めに邁進している方が多いかもしれませんが、下記の講義については、大事にしておくと良いです。細かい計算は覚えておかなくとも、技術検討をする上での考え方、ツールとして後々よく出てきます。

統計学

これは疑いようが無いです。電気系、情報系に限らず、技術系の職種で必ず使うと断言できます。なぜならば、実験、技術検討する上で必ずデータを相手にするからです。データの素性(母集団、計測方法)、平均、分散、最大値など、読み取れる結果から結論づける際の根拠として必ず使用します。ある意味、日本語と同じレベルで使います。

応用数学(フーリエ変換)

フーリエ変換の計算自体をよく行うわけではありませんが、測定対象の信号をフーリエ変換すると、その信号が持っている周波数成分に分解できる事実は非常によく使います。例えば、物質内部の欠陥を診断するために行う非破壊検査がそうです。また、そもそも実験で計測した信号に対して、どの成分が多く含まれているのか、ノイズも含めた動作状況を推察する上で大変効果があります。

具体的な計算はコンピュータに任せれば良いです。人間としては、フーリエ変換された結果をデータとして確認し、その結果を考察するスタンスで構いません。

電気回路

オームの法則とキルヒホッフの法則を抑えていれば基本的に問題無いです。これだけなら、高校どころか中学レベルの知識ですが、大学まで広げた理由があります。インピーダンスの概念が出てくるからです。

インダクタ、コンデンサの特性を虚数として表し、抵抗成分(実数)との合成値をインピーダンスとして表す手法は無視できません。ある電気機器の特性を見るのに、インピーダンスは必ずSPEC値として出てきますし、一般教養として知っておく必要があります。このため、ノミネートしました。

※インピーダンスは、大学受験で難しい大学を受験する際の発展的な内容で出題される場合がありますが、高校段階では捨て問に位置付けられます。筆者も当時、仮に出題されたら諦めて浪人しようと思っていました。高校段階で真面目に勉強される方は殆ど居ないと考えています。

電子回路

電気回路と一緒にして良いかもしれませんが、電子回路もよく使います。それどころか、機械系出身の技術者も勉強して欲しいレベルだと考えています。

電子機器の回路図を見る上で、MOSFETが非常によく出てきます。この動作原理だけでも勉強する価値があります。「高校までに勉強したことが無い回路記号だから分かりません。」と考えることを放棄する方が居ますが、ゲートにかける電圧次第でMOSFET間の導通有無が切り替わるスイッチング素子であることは、一般教養として皆が知って欲しいと思っています。

このブログの記事じゃなくても良いので、知らない人が居たら是非啓蒙してください。

制御工学(古典制御)

会社では、大なり小なり産業用機器を扱います。機械を扱う上で必ず必要となるのが制御の概念で、PI制御の知識をよく使用します。

  • P(比例要素)を強くすると、応答性は良くなるが、行き過ぎ量が増える(安定性が落ちる)
  • D(積分要素)を強くすると、目標値に対する偏差は速やかに解消されるが、目標値周りでのハンチングが起きやすくなる。(安定性が落ちる)

感覚的に理解できる範囲かもしれませんが、制御工学を勉強すると論理的に説明できるようになります。伝達関数の細かい設計は知らずとも、是非、PI制御については一般教養として知っておきたいです。

意外と使わない?高校までの知識で十分な講義

大学(院も含む)は、教育における最高学府なだけあり、理論が先行し、実社会ではあまり使わない講義もあります。

「高校までの知識で十分で、大学で勉強する知識をわざわざ使う場面に遭遇しない。」が正しい言い方で、その科目自体を否定しているわけでは無いですが、筆者がそう感じている講義を下記に示します。

解析学

大学入試から引き続き、やたらと難しい関数ばかり出てきますが、会社で使用することはあまりありません。工学的な立場で実用化を考える上では、近似が重要な手段であり、仮に出て来たとしても簡易的な計算で代用されがちです。基本的に、高校数学(数Ⅲ)レベルの積分ができれば困ることは少ないです。

世の中には、積分できない関数が圧倒的に多く、数値解析の分野において台形積分(近似計算)が使用されている事実さえ押さえておけば問題無いと思います。

電磁気学

本ブログで多数扱っている科目なので少し勇気が要りますが、、大学レベルの電磁気学を知らなくても実は問題無いと考えています。(びっくり)
理由は、高校までの知識で十分だからです。電磁気学を深く勉強しない機械系技術者と議論をする上でも、大学レベルの内容まで踏み込めず、困ったことはありません。

電磁現象を定性的に議論する際に使用する知識
  • 電荷が存在すると電場が発生する
  • 電荷が移動すると電流が発生し、磁場に寄与する
  • コンデンサでは、極板間に電場が発生しており、静電エネルギーを貯蔵している
  • コイルでは、巻線が形成する閉路内部で磁場が発生しており、磁気エネルギーを貯蔵している

どれも、高校までの電磁気学で学習することです。解析学と同じく、高校で勉強する電磁気学のレベルが高いから、大学レベルの勉強をしなくても実社会で通用してしまう。が正しい言い方かもしれません。

一方で、電場、磁場に勾配が存在したり、時間変化する概念は大学特有です。電位を計算するために積分記号が必要になる難しさはありますが、一定値の電場を乗算し、電位を計算する概念自体は高校で既に勉強しています。やっていることは同じ積分です。あくまでも計算都合の難しさであり、物理現象をイメージする世界観に大きな変化は無いため、ここで紹介しました。

※電磁波ノイズに対する実機動作確認(電障試験)を担当する場合は話が別です。電磁波の存在は、大学の電磁気学を勉強しないと出てきません。コイルの誘導起電力の特性から、遮蔽電流が電気機器に流れ、空気中を伝搬していく。程度の知識でも最悪何とかなるかもしれないですが、主担当となるからには頑張って突き詰めた方が良い。というのが筆者の意見です。

電気情報系の学生も勉強したい他学部の講義

表記は言い過ぎかもしれないですが、講義として開講して欲しいくらいにはよく使う科目をここでは紹介します。主に機械系の四力になります。一般教養の物理で触りだけ勉強する学校もあるかもしれませんが、是非大事にしたいところです。

流体力学

会社に入ってから、配管設計、評価をする際によく使用します。どのような産業用機器でも、配管は確実に付いており、見ない日はありません。自分が配管設計しなくとも、全体会議でほぼ確実に出てきます。議論内容を理解する知識を持っておく意味でも勉強する必要があります。

電気系の学生ならば、発電工学(水力発電)で、序論を勉強する場合があります。しかし、ベルヌーイの定理の使い方程度に限定され、圧力損失及び配管に与える力などの計算手法に触れる機会がありません。配管設計、評価をする際に必要な知識に対し、不足していると言わざるを得ません。

このようなことから、他の科目で代用が効かないと判断し、オススメするに至りました。

補足

残る四大力学のうち、熱力学、材料力学、機械力学はここでは紹介しません。理由は、他の講義でもギリギリ代用が効くと判断したからです。

熱力学について、一般教養(化学)で勉強します。選択科目であり、受講しなかったとしても、発電工学(火力発電)で勉強するチャンスがあります。熱サイクル、エンタルピー、エントロピーに関する概念さえ押さえられれば十分ですので、ここでは紹介しません。

材料力学について、応力、ひずみの概念は一般教養(物理学)で勉強しますので、電気系の学生にとってはこれくらいで十分と判断しました。

機械力学について、ばね、ダンパなどの機械要素を詳しく勉強できる利点はありますが、制御工学の序盤で出てきますので、これで代用が効くと考えています。

最後に

試験勉強、単位取得に忙しい日々を送っていると想像していますが、本記事により勉強するモチベーションが向上し、メリハリをつけるきっかけになれば幸いです。

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