【初学者向け】半導体デバイスのオススメ参考書紹介

はじめに

本記事は、先日投稿した電子回路の初学者向けの勉強法を指南する記事の類似となります。

半導体デバイスは、バンド構造の概念さえ理解してしまえば、高校物理レベルの知識でも理解できる学問になっています。バイポーラトランジスタ、ショットキーダイオード、MOSFETなど、動作内容を把握すべきデバイスが多いことが難点ですが、全てバンド構造を軸として説明できます。

たまに、電子、正孔の物理的な振る舞いを微分方程式として表し、これを解く問題が出てきます。大学数学に片足を突っ込んだ計算方法となっていますが、変数分離法で片付くことが多いです。大学受験の後期入試対策をしていると目につくことが多いため、大学1年生でもついていける内容として取り扱います。

上記の理由から、本記事でも、バンド構造と各種デバイスの動作を広く浅く説明している書籍を紹介していきます。

大学における半導体デバイス

15コマある内の最初の3~4コマは、バンド構造の概念を勉強します。その後、バイポーラトランジスタ、ショットキーダイオード、MOSFETと続いていきます。

バンド構造に関しては、電子、正孔の持つエネルギー準位を示す概念です。電圧をかけると、電子の場合は負電荷であるため、準位としては下に下がり、正孔の場合は正電荷ですので、上に上がります。

準位のうち、価電子帯と伝導帯の間はバンドギャップと言い、準位を取れない状態を言います。金属の場合は、バンドギャップが殆ど無く、電子が励起しやすいため、電流が流れやすいです。
一方で、絶縁体の場合はバンドギャップが広いため、エネルギーをかけても電子が励起せず、電流が流れないです。
半導体の場合は、丁度いい広さのバンドギャップですので、適切なエネルギーを与えてやると電子の励起状態が変わり電流が流れます。

上記のように、半導体デバイスの勉強は、ある程度定性的な理解で進めることができます。動作原理を説明せよ。なる問題が出てくることもありますが、上記のような説明で得点することができます。
高校物理レベルの内容でも把握できます。

この枠組みを前提に、勉強を進めていきます。

具体的な参考書

増補版 はじめての半導体デバイス 執行 直之 (著) 

参考書選定の観点
  • 説明の分かりやすさ:☆☆☆☆
  • 演習問題の選定内容、量:☆☆☆☆
  • 例題、演習問題の解答の量、丁寧さ:☆☆☆☆

特に理由が無ければ、本書を最もオススメします。複雑な数式ではなく、物理的な直感に寄せた説明をしているためです。冒頭に述べたように、半導体デバイスを理解するためにはエネルギーバンド図から理解する必要がありますが、本書は特に体現されています。各章に、事前学習なる項目があり、キーポイントを抑えることができます。

厳密な説明が無いため、かえって分かりにくい。などのレビューもありますが、初学者には大きな問題にはならないと思います。厳密性は、前提知識がある上で追及することです。

演習問題の選定内容も、院試のために知っておいた方が良い知識が並んでいます。解答も親切ですので、まずは本書で勉強してみましょう。

半導体デバイス 廣瀬文彦 (著) 

参考書選定の観点
  • 説明の分かりやすさ:☆☆☆☆
  • 演習問題の選定内容、量:☆☆☆★
  • 例題、演習問題の解答の量、丁寧さ:☆☆☆☆

最近の本でレビューも少ないですが、こちらも分かりやすいです。

各半導体デバイスの動作原理を説明する傍ら、実特性についても触れられています。社会人になり、半導体関係の仕事に就くことを考える場合は本書を選択して良いかもしれません。後半の章では、太陽電池、パワー半導体に関する説明もあります。太陽電池はpn接合を応用した技術であり、北大の入試で出題されることがあります。パワー半導体については、院試で出題する大学が私の知る限り存在しなくなりましたが、社会人になってからよく使います。

本記事は、将来の院試対策を主眼に置いた書籍紹介のため、一部☆☆☆としていますが、単なる方向性の違いですので、是非書店で手に取ってみることをオススメします。

例題で学ぶ半導体デバイス入門 樋口 英世 (著) 

参考書選定の観点
  • 説明の分かりやすさ:☆☆☆★
  • 演習問題の選定内容、量:☆☆☆☆
  • 例題、演習問題の解答の量、丁寧さ:☆☆☆☆

こちらの書籍もオススメです。制御工学の記事でも演習書を紹介しましたが、そこの総評と同じになります。単に問題とその回答を羅列するのではなく、導入で必要な知識を解説した後に演習に入っています。専門書を1冊買ったが、理解を深めたい時に購入した方が良い本です。

最後の章では、半導体プロセスに関する問題もありますが、こちらを院試で出題する大学は見たことが無いです。よって、優先度は落として良いと思います。

類似で、下記青色の演習書も存在します。書籍名から半導体デバイスの演習書を連想しますが、電子回路としての演習問題が多いです。半導体デバイス単体での演習を目指す際は上記緑色の本を購入することをオススメしますが、電子回路も同じく学ぶ際は一考の余地があります。

例題で学ぶ半導体デバイス 沼居 貴陽 (著)

最後に

半導体デバイスは、電子回路との関連性が高い科目です。院試対策を前提に半導体デバイスの勉強をする際は、電子回路もセットで院試での選択を検討してみると良いかもです。

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