はじめに
本記事は、有名大学の院試解答を2年半執筆してきた管理人が作成しています。東大の第2問は、電気回路、電子回路で構成されています。傾向と対策方針を紹介します。
東大 電気系専攻 院試の全体
下記の試験科目6題から2題を選択し、解答します。2題合わせて150分と、時間にゆとりがあります。
その分、一つ一つの分野は他大と比較してしっかり問われます。
第1問同様、第2問も最も選ばれる科目の一つではないかと思います。
電気回路、電子回路は各大学の必修科目のため、0から学習することはほぼ無いと思います。
ただ、電磁気学と同様に、他大と比較して試験範囲が広いです。
具体的には、分布定数回路が試験範囲に入っています。こちらの個別対策が必要です。
電気回路、電子回路の傾向と対策
全体
ここ4年間は、下記の項目が出題されました。
- 2023年:変圧器等価回路の作図。RLC回路の過渡現象。RC MOSFET回路の周波数特性。発振条件。
- 2022年:分布定数回路の回路解析。MOSFETの特性、回路解析
- 2021年:LRC回路のフェーザ計算、過渡現象。MOSFETの回路解析
- 2020年:LRC回路のフェーザ計算。MOSFETの回路解析
電気回路は満遍なくの出題です。「フェーザ計算」とまとめた言い回しになっていますが、中身の問題は、回路の簡単化、グラフからパラメータを求めるなど、色々問われます。
ただ、2端子対回路(F行列)に関する問題は少なめに感じます。まずは、回路の計算を大事にしましょう。
一方で、電子回路は、最近MOSFETが多いです。2019年以前を見ていても多いです。バイポーラトランジスタ、オペアンプが出題の可能性もありますが、まずはMOSFETを固めることをオススメします。
前半、後半の大問に難易度の差はありません。1科目あたりの試験時間は75分ですので、35分ずつ1題に時間を割き、2題で70分程度+計算ミス確認10分が妥当と考えます。
2023年は発振条件に関する問題が出ました。目新しいです。
本サイトでは、下記などで多数記事を取り扱っています。知識の確認になるかもしれません。
対策に使える参考書(電気回路)
市販の参考書は充実しており、どれを選んでも大差は無いと思います。ご自身のお持ちの本で勉強して問題無いですが、以下をオススメします。
東大シラバスで紹介されている本です。基本的な事項の説明ですので、演習書での対策は必要です。
電気学会 電気回路論 平山 博 (著), 大附 辰夫 (著)
筆者としては、こちらをオススメします。分布定数回路も説明に入っており、オールインワンな教科書と考えます。
加えて、演習書は以下をオススメします。
詳解 電気回路演習(上下) 大下 眞二郎 (著)
上ではフェーザ回路の計算。下では、過渡現象の計算と分布定数回路の計算問題が収録されています。
どれも、東大院試で問われる内容です。ボリュームが多いため全て解く必要は無いものの、様々な問題が収録されています。辞書代わりに使うと良いです。
対策に使える教科書(電子回路)
どの大学でもそうですが、小信号等価回路を書いて、そのパラメータを計算する場合が殆どです。どの電子回路の教科書でも説明がされていますので、大差は無いです。以下を紹介していきます。
デジタルシステム工学 基礎編 William J.Dally (著), John W.Poulton (著)
東大シラバスでの指定教科書です。ただし、絶版になっていますので、入手が難しいです。
下記の教科書でも問題無いと思います。
等価回路でしっかり理解! 詳解 電子回路: アナログ回路の基礎からデジタル回路入門まで 𠮷河 武文 (著), 三木 拓司 (著)
院試頻出分野の等価回路をテーマに電子回路の動作を説明しています。まさに、院試のために生まれてきたような参考書です。管理人として特におススメします。
他、初学者向けに、以下の参考書もあります。
はじめての電子回路 大熊 康弘 (著)
初学者向けのタイトルではありますが、少し踏み込んだページもあります。管理人も、定期テスト対策でお世話になりました。ミラー回路の対策も考えるならば少し足りないですが、知識の見直しと言う点で良いと思います。
対策に使える他大学の問題
本サイトでは、以下5分野に分けて紹介します。
1.2.は一般的な内容です。東工大、阪大がレベル的に似ているのでオススメです。
3.は出題される大学が限られていますが、東工大が最もオススメです。京大(通信情報)は、基本を重視するのか、平易な問題が多いです。
4.は東工大と東北大しか試験範囲に存在しません。両大学の過去問でも良いですが、本ブログ(カテゴリー通信)でも多数の記事を取り扱っています。是非対策に役立てて下さい。
5.は一般的な問題が多いです。同じく、東工大と阪大の過去問で良いと思います。
最後に
東大 電気系院試 第2問(電気回路、電子回路)は、やや範囲が広いものの、万人にオススメできる科目です。
第1問(電磁気学)に対して計算量が多く、ミスが多くなることが弱点ですが、それを差し引いても取り組みやすい科目です。
ご自身が所属する大学での履修状況にもよりますが、選択を検討してみてください。